睡眠時無呼吸を33%抑制!カンナビノイドが新薬開発に有望

アメリカ人成人の推定5人に1人が睡眠時無呼吸症候群ですが、現段階で治療薬はありません。しかし今、大規模な臨床試験によって、大麻の主な精神活性成分の合成バージョンを利用した薬が睡眠時無呼吸に有効であることが証明されました。その薬はドロナビノールで、大麻を使用したときに精神活性化をもたらす主な精神活性成分デルタ-9テトラヒドロカンナビノール(THC)の合成バージョンを元にして作られています。

今回実施されたランダム化臨床試験はこの種の臨床試験としては最長・最大です。結果は第II相試験から得られました。ドロナビノールはすでに多くの国で、化学治療を受ける患者の吐き気・嘔吐の治療に使用されています。

睡眠時無呼吸症候群とは?

睡眠時無呼吸症候群はSASとも呼ばれていますが、寝ているときに呼吸が止まる病気です。医学的には気道における気流停止が10秒以上で無呼吸とされ、睡眠中、1時間に5回以上無呼吸になると睡眠時無呼吸と診断されます。睡眠時無呼吸症候群の症状には、いびき、寝汗、熟睡感のなさ、日中の眠気などがあり、放っておくと高血圧、心疾患、脳卒中など重篤な合併症が起こることもあります。

睡眠時無呼吸症候群の原因は、上気道が物理的に狭くなることが約90%(閉塞性睡眠時無呼吸症候群)、呼吸中枢の異常が約10%(中枢性睡眠時無呼吸症候群)と言われています。閉塞性睡眠時無呼吸症候群の場合、首や喉周りの脂肪沈着が問題となることが多いため、治療の一環としてダイエットが推奨されることもあります。現時点では効果的な治療薬はなく、特別な呼吸補助装置を用いるCPAP療法、マウスピースの装着、外科手術などの治療が行われるほか、生活習慣の改善が指導されます。

研究の背景

イリノイ大学シカゴ校(UIC)生体行動健康科学部のデヴィッド・W・カーレー教授と、同じくシカゴにあるノースウェスタン大学フェインバーグ医学院の神経学教授であり、ノースウェスタン睡眠障害センター局長のフィリス・ジー博士が研究を共同で指揮しました。

少なくとも軽症の睡眠時無呼吸にはアメリカ人の5人に1人が罹患していると考えられており、治療の選択肢は限られています。なかでも最もよく見られる閉塞性睡眠時無呼吸は通常、持続性気道陽圧(CPAP)器を用いて治療されています。しかし、この機械のオプションを厳守する治療は極めて不十分です。

未治療の反復性睡眠時無呼吸は、心疾患や脳卒中などの心臓血管障害を引き起こす可能性があります。「閉塞性睡眠時無呼吸に対する新たな有効な治療量が大きく必要とされています」と研究論文の第一著者カーレー教授は言います。

スリープ誌に掲載された今回の臨床試験で検査されたドロナビノールは、脳を標的にすることで作用します。ジー博士は次のように説明します。

「CPAP器は身体的な問題を標的にしますが、原因を標的にはしていません。ドロナビノールは上気道筋を調節する脳ならびに神経を標的にします。ドロナビノールは筋肉と伝達する脳内の神経伝達物質を変化させます」

「睡眠時無呼吸を治療するためにドロナビノールを摂取すると、その治療効果は一晩中続きます」とカーレー教授が付け加えました。

睡眠時無呼吸患者におけるドロナビノール治療

カーレー教授その他は、軽症または重症な睡眠時無呼吸を患う73人の成人患者を採用しました。被験者は3つのグループに分けられました。1つ目のグループは低用量のドロナビノールを与えられ、2つ目のグループは高用量のドロナビノールを与えられ、3つ目のグループはプラセボを投与されました。それぞれのグループは6週間にわたって毎日寝る1時間前に治療薬またはプラセボを摂取しました。

被験者の眠気および覚醒状態は標準検査を用いて評価され、また各被験者に対する全体的な無呼吸-低呼吸指数が決定されました。低呼吸とは過度に浅い呼吸を差します。

ドロナビノール10mgという高用量を摂取した被験者は、治療に関して最も高い満足度を報告しました。これらの被験者に関しては、自覚的な眠気の兆候が減少し、無呼吸・低呼吸エピソードの発生率が低下しました。

CPAP機器の完全厳守(稀なケース)と比較すると、新薬は無呼吸症状を33%抑制しました。

初の利用可能な睡眠時無呼吸薬?

研究著者らは、睡眠時無呼吸の治療に対してカンナビノイドを利用する最適な方法を解明するためにはより大規模な臨床試験が必要であることを認めています。それまでは大麻を喫煙または吸引しても睡眠時無呼吸に対して同じ効果は得られない、として警告しています。ジー博士は次のように述べました。

「異なるタイプの大麻は成分が異なります。睡眠時無呼吸に適応されるのと全く同じ成分ではない可能性があります」

カーレー教授も次のように述べ、ジー博士の主張に加勢しました。

「大麻は数多くの活性成分を含みますが、我々が検査したのは精製されたデルタ-9THCです。ドロナビノールをより深く理解することが、睡眠時無呼吸に対するより有効で個別の治療法を開発するのに役立つでしょう」

とはいえ、概して研究結果は有望です。著者らは次のように結論づけました。

「これらの研究結果は、閉塞性睡眠時無呼吸患者におけるカンナビノイドの治療可能性を裏付けます。プラセボと比較して、ドロナビノールは無呼吸-低呼吸指数の低下、自覚的な眠気の改善、全体的な治療満足度の拡大と関連づけられました」

「初めての利用可能な閉塞性睡眠時無呼吸治療薬への道を提供することによって、我々の研究は臨床診療により大きな影響を与えられるかもしれません」カーレー教授はそう締めくくりました。

合成THC薬であるドロナビノールが睡眠時無呼吸を抑制し、全体的な睡眠の質が改善されたことが分かったこの研究。残念なことに日本でドロナビノールは認可されていないため、使用することはできません。今後、医療大麻を導入する議論が活発になれば、こういった合成カンナビノイド薬から認可されていく可能性が高いので、引き続き動向を見守りたいと思います。

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参考:MedicalNewsToday