英国初!健康保険適用で医療大麻を処方された少年

イギリスには国民健康保険適用で医療大麻を処方された11歳の少年がいます。イギリスで初めてのケースだと報道され、大きな話題を集めた難治性てんかん患者ビリー・コールドウェルの軌跡と、イギリスにおける医療大麻の実情について掘り下げます。

CBDオイルを求めて渡米したビリーの治療軌跡

ビリー・コールドウェルは1日に1回、死に直面していました。ビリーは1ヶ月に30回、生きるために酸素マスクをつけ、薬を投与しなければならないほど重い発作に苦しんでいました。医師にも為す術がありませんでした。ビリーの両親によると、医師らは治すことができないままビリーを自宅へ戻し、死に対して心の準備をするように注意したと言います。ビリーと母親のシャーロットはてんかん治療のためにアメリカに渡り、医療大麻治療を受けました。

ビリーが最初にてんかんから回復したのは2009年にアメリカを長期訪問した時のことでした。数年後、2016年に発作が再発しました。他に選択肢がなかったコールドウェル家はさらなる治療を受けるために再びアメリカに飛びました。そこで医師らは病状の原因を突き止めました。ビリーの脳の片側には、手術不可能な損傷があったのです。

治療として公的健康保険が効かない、ありとあらゆる特別な医療法を体験したビリーとシャーロットは、一時的にホームレス状態になりました。ロサンゼルスに数ヶ月間住み、大麻オイルを摂取していたビリーは、重度の症状の後退が起こり、入院しなければならないこともありました。その入院費とてんかんの特別治療費によって、家賃を払えなくなったシャーロットは、路上で寝泊まりするためにテントと寝袋、カセットコンロを購入したとフェイスブックに書き込んだほどです。結果的に彼らを心配した慈善家が、数ヶ月後にアイルランドに帰るまで自宅に滞在させてくれました。

2人は大麻オイルのストックを持って税関を通り、帰国しました。大麻はクラスB薬物なので、もし税関が大胆なシャーロットを捕まえたら、彼女は逮捕されたかもしれません。薬物乱用法のもと、懲役最大5年間の判決を下されるかもしれなかったのです。しかし子供が死にかけているとき、息子を救う薬が合法かどうかなんて考えないのだ、とシャーロットは言います。

大麻オイルのストックが切れそうになり、ロサンゼルスへの旅することもできなかった時、シャーロットは必死な思いでビリーを地元の家庭医の元へ連れて行きました。ブレンダン・オヘア医師は“独特で普通ではない”状況に気がつき、 CBDオイルを処方することを選択しました。CBDオイルは、カンナビジオールという成分を含む大麻の派生物で、英国医薬品庁ガイドラインの元で医師は処方を認可されています。医療大麻の利点を信じる全ての患者および家庭医に門戸を開くような処方の結果、ビリーとシャーロットは地元の薬局でCBDオイルを入手することができました。以降、ビリーの病状は劇的な改善を遂げました。

イギリスにおけるCBDオイルと医療大麻の扱い

CBDオイルは、大麻の精神活性成分であり、薬物乱用法によってイギリスで違法とされているテトラヒドロカンナビノール(THC)を含有しません。昨年、英国医薬品庁は、合法的に販売され、安全基準を満たすという条件で、カンナビジオールを含有する製品を医療目的で使用できると言明したガイドラインを発表しました。しかし、医療大麻はまだ完全には合法化されていません。

CBDオイルはイギリスでは合法なので、医師はオイルが製造される、または注文を受けて輸入されるための“特別な”処方箋を出すことができます。 国会議員および薬物政策改正グループは、イギリスにおいて他の患者に門戸を開放する可能性を暗示したビリーの治療の成功を評価しました。イギリス自由民主党の保健担当広報官、ノーマン・ラム議員は次のように話しています。

「ビリーがこのように、潜在的に命を救う治療を得て助けられているのは素晴らしいことです。ビリーの人生にこれほど劇的な影響を与えた治療に対するアクセスを得ることに対して、本気で反対する人はいないと思います。CBDオイルが誰にも平等に効果的なら、他者への処方を否定する論理はありません。医療大麻が、特に多くの苦痛を伴う病状において、非常に有力で効果的であることの多くの証拠があります。我々は、医療的および臨床的に効果的な治療へのアクセスを否定してはいけません」

CBDオイルは、医療大麻を市場に導入しようとしているアイルランドのグリーンライト・メディシン社によって提供されました。

CBDオイルを処方することを決断した地元医

ビリーにCBDオイルを処方することを決断した北アイルランドのオヘア医師は、歴史的となった判断について次のように話しています。

「患者の福祉が、他の問題に優先する時があります。自分の決断に自信をもっています。この薬用オイルが肯定的な影響を及ぼしているという証拠があるときに、私は、さらなる命にかかわる発作を持つビリーの代わりに、我慢することができませんでした」

一方で、医療大麻を求めるその他多くの患者を牽制するような発言もしています。

「善悪はさておき、大麻オイルによって回復を見せたことがある子供の健康が最重要でした。それに基づいて、私は処方箋を書きました。これは他の人に対して水門を開くものではありません。1回限りです」

シャーロットによれば、多くの両親たちが子供のためにCBDオイルを入手することに関して聞こうとシャーロットに連絡してきました。実際あまりにも問い合わせが多かったので、シャーロットはビリーズ・バッドフェストというフェスのようなイベントを開く予定です。ビリーズ・バッドとは、ビリー・コールドウェルにちなんで名付けられ、現在www.billysbud.comで購入できるCBD製品の名前です。

ウェブサイトには、製品がアメリカで製造・販売されたと記載されていますが、提供価格はポンドになっています。価格は100ml瓶あたり最大189.99ポンドです。もしアメリカから輸入・配送されているのであれば、製品にはTHCが含まれず、完全にヘンプ製でなければなりません。

とはいえ、ビリー・コールドウェルの事例はイギリスにおける医療大麻合法化の活動家に刺激を与えました。彼らには今、ビリーというお守りも、説得力のある事例もあります。今後、イギリスの大麻政策が変革を迎えていくでしょう。

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医療大麻が完全に合法化されていないイギリスで、健康保険が適用されて大麻オイルを処方されたというだけでも奇跡的ですが、それによって少年ビリーも奇跡的な回復を遂げたという話です。イギリスは医療大麻に対して未だに厳しい国ですが、世界初のカンナビノイド系多発性硬化症薬サティベックスを開発・販売し、現在もCBDを利用した抗てんかん薬エピディオレックスを開発中のGWファーマシューティカルズ社はイギリスの製薬会社です。国の政策と技術開発の面でも一致していない印象を受けますね。

イギリスでは2017年10月に初めての医療大麻会議カンナテック・ロンドンが開催されたこともあり、今後、医療大麻の解禁が進むのではないでしょうか。イスラエル、アメリカの半数の州、カナダ、ドイツなど医療大麻を完全に合法化する国や地域の流れを受けて、日本でも議論が活発化することが望まれます。

出典 : telegraph
HighTimes