生薬としての大麻と天然カンナビノイド

大麻は化学薬品ではなく、植物である。そして、遥か昔から、薬草つまり生薬として使われてきた。
その薬効成分は、80種類以上のカンナビノイドであることは既に説明してきた。しかし、その全てはまだ解明されておらず、研究が世界中で行われている。

近年の研究によると、それぞれのカンナビノイドが複合することで、様々な作用を生み出すことがわかってきた。80種類以上のカンナビノイドが、それぞれの濃度や受容体の位置などによって効き方が変わってくる。更に、テルペンと呼ばれる成分も効能に関わっている。

テルペンは、当初は精油などから大量に発見された物質で、香りのもとでもある。大麻に含まれるテルペンやフラボノイドもカンナビノイドと相互作用を起こし、さらに複雑な効果を起こすこともわかってきた。これを『アントラージュ効果』と呼んでいる。

テルペンが生成される前の物質(前駆体)は、カンナビノイドのそれと同じものであることもわかってきている。つまり、大麻草の香り自体も、医療効果があるということである。これは大麻草に限ったことではなく、他の植物のテルペンにもいえることであり、いくつかの草花の心地よい香り自体に薬効があることがわかってきている。

生薬である大麻草を利用する場合、『全草利用』が基本だといわれている。カンナビノイドやテルペンなどの複合的な作用によって様々な効能が起こり、体と心を癒していく。それが医療大麻の最大の特徴ともいえるだろう。

西洋医学では、ひとつの疾病に対して単位で医療を行っており、血中濃度でその効果を数値化して判断していく。がん細胞などを切除したり放射能治療を行うことで、部位自体に治療を行っている。
つまり、1対1の関係である。一方の東洋医学ではひとつの疾病についての因果関係を探り、患者への効果を見極めながら投薬や治療を行う全体的なアプローチ方法といえる。

医療大麻の効果や治療方法は、東洋医学的なものだといってよいだろう。そのため、西洋医学的な臨床検査によって、効果や数値化することが厳しいのである。

医療大麻は生薬であり、その効能は複数のカンナビノイドやフラボノイドによるアントラージュ効果によって、大きな効能を生むのである。

出典:医療大麻入門