脳内でのカンナビノイドの相互作用

脳内のCBD-1受容体の活性化がTHCの数多くの作用にどうつながっていくのか、という点については、いまのところ限られた情報しかないが、カンナビノイド制御機構のおおまかな特徴は明らかになっている。
(論評はPertwee,1955;Piomelli他,1998;Fedler&Glass,1998)

CB-1受容体は環状AMP生成の阻害と結びついていることが多いが、これはいつでも起こる現象というわけではありません。一部の神経細胞では、CB-1受容体が活性化することによってカルシウムイオン・チャンネル、とりわけNサブタイプの同チャンネル機能が阻害される。この事実によって、カンナビノイドが神経伝達物質の放出を阻害する仕組みをある程度説明できるだろう。

上述のチャンネルは、神経伝達物質を神経末端から放出するさいに本質的な役割をはたしているからである。CB-1受容体はそのすべてが神経さいぼうの細胞体。こここで細胞による電気信号発射を制御している可能性がある。——にあるわけではなく、神経線維の末端、つまり神経線維がほかの神経細胞と接触する部分(シナプスとして知られている)に集中している。

ここでCB-1受容体は、神経末端から放出される化学的神経伝達物質の量を調整し、真ん系末端が活性化したと気に化学的メッセンジャー分子の量を加減することによってシナプル伝達の過程を調整するような仕組みになっている。

組織培養した神経細胞の実験や、試験官内で培養した脳組織の薄片を使った実験によって、THCなどのカンナビノイドを加えることで、さまざまな神経伝達物質が刺激されて放出されるのを阻害できることがわかっているが、そのなかには抑制性アミノ酸であるγ-アミノ酸(GABA)や、ノルアドレナリンやアセチルコリンなどのアミノ酸も含まれている。

末梢神経系では、CB-1受容体はさまざま平滑筋組織を刺激する神経の位置びのまったにもみいだされている。アバディーン大学のロジャー・パートウィーとその仲間たちは、多様な器官培養液分析でこれを利用したが、その結果THCや他のカンナビノイドが、腸や輸精菅、膀胱の平滑筋が電気的刺激を受けて収縮するのを阻害することが突き止められている。

こうした生物学的分析法は、新しいカンナビノイド薬の作動薬・拮抗薬としての特性を査定するにあたって有効であることがわかっている。カンナビノイドの活動は一般的に神経伝達物質放出の阻害にその目的があると思われるが、だからといってカンナビノイドの総体的効果が神経回路における活性の低下に限られるわけではない。

たとえば強力な抑制性物質GABAの放出を減らすことで、阻害レベルを現象させる逆効果を招く可能性がある。これによってごく最近報告されたような、カンナビノイドのもつ2大効果を説明することができるかもしれない。つまり、THCの投与は即座核として知られる脳内部位において神経伝達物質ドーパミンの放出量を選択的に増加させる一方で、脳内での自然発生オピオピド(エンドルフィン)の活性化と増量をともなうのである。