埋めるべき溝があると非営利のコミュニティ・プログラムが生じることがあります。まだ始まったばかりの大麻産業には多くの埋めるべき溝があります。
ジェティ・エクストラクツ社が立ち上げたプロジェクト、シェルター・フロム・ザ・ストームは、大麻治療の溝を埋めるために活動しています。
カリフォルニア州オークランドを拠点とする抽出エキス会社ジェティ・エクストラクツ社は、カリフォルニア州在住のがん患者で医療大麻プログラムに登録している人を対象に、医療大麻オイルやその他サービスを無料で提供するシェルター・プロジェクトを立ち上げました。
プロセスのかなり早い段階から、ビジネスモデルに慈善活動を取り入れるべきだというのは明らかだった、とジェティ・エクストラクツ社の共同設立者マット・リーは言います。彼らは、治療プランとして大麻から恩恵を受けられる可能性のあるさまざまな疾患に苦しむ知り合いにオイルを提供し始めました。それから間も無く、この事業をカリフォルニア州全体に拡大したいと考えるようになりました。
マット・リーはハイタイムズの取材に対して次のように説明しました。
「私はTOMSのような“1対1”の計画をやり、がん患者に焦点を当てたいと考えていました。ビジネス計画を終えて立ち上げたあとすぐに、オイルを欲するがん患者よりもはるかに多い大麻使用者がいることが分かりました。結局私たちは、カリフォルニア州在住でザ・シェルター・プロジェクトに登録した全てのがん患者に無料でオイルを提供するようになりました。それが現在の状況です」
プログラムはこれまでのところ大きな成功を収めており、現在カリフォルニア州全土で400人の患者が参加しています。オイルを製造業社価格で入手できるからだけでなく、高価で不要な包装を控えて直接患者にオイルを届けることができるため、プログラムの管理費を低く抑えることができます。さらなる恩恵として、プログラムによって支援と信用を培うことができました。
「誰の役にも立たないような雑誌広告にお金を使うより、人々を助けることでオーガニック・マーケティングを得るほうがずっとやりがいがあります。予定外の利益は驚異的なほどです。私たちは業界随一のスタッフを引き寄せ、大麻業界全体から素晴らしいサポートを得ています」
コミュニティ支援はプログラムの二次的側面に関して極めて重要です。そこには、患者が自分で薬草を栽培できるように寄付された道具を供給し、個人的な治療計画を作成できるようにコンサルタントを紹介することも含まれます。
プロジェクトを全国化することについて聞かれたリーは、そのようなプログラムの拡張性は予測できないと述べました。
「私たちはカリフォルニア州でやり続けようとしているだけで、規制の実施によって患者へ寄付できなくならないことを祈っています」
悲観的な発言に聞こえるかもしれませんが、リーは大麻の未来に関して楽観しています。
「医療用、娯楽用に関わらず大麻は今後10年、世界中でますます受け入れられていくと思います。次の10年間のうちに、連邦政府が意見を変え、連邦レベルでの合法化、または少なくとも再分類化が行われることを期待しています」
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がん患者に大麻オイルを無料で配布、という大胆でアメリカらしい慈善活動ですね。カリフォルニア州にはこのジェティ・エクストラクツ社の他にも、がん患者や退役軍人に対して無料で大麻を提供するプログラムがいくつかあるようです。
がんと大麻
なぜがん患者に大麻オイルを無料提供する、という慈善活動が広く行われているのかというと、医療大麻が合法の州では医療大麻プログラムに登録すれば医療大麻を入手することができるとはいえ、健康保険制度が適用されないので高額になり、入手したくてもできない患者がいるからです。
医療大麻はがんに対してさまざまな効果を持つとして、がんは医療大麻の認定疾患の一つになっています。主に化学療法に伴う吐き気・食欲減退に対する制吐効果、食欲増進効果、がんの痛みやがん治療に伴う神経障害痛に対する鎮痛効果、 がん細胞に対する抗腫瘍効果があると言われています。現時点では大麻は従来の治療法の代替策として勧められているわけではありませんが、治療を補助する存在として評価されているので。国民の2人に1人ががんになると言われている日本でも、せめて医療大麻の合法化が進めばより多くの患者の生活が改善されるかもしれませんね。
