コロナビールを製造するコンステレーション・ブランズ社が、酒類製造会社として初めてグリーンラッシュに参入することが明らかになりました。
人気メキシコビール、コロナを製造する企業が大麻グリーンラッシュに出資し、ワイン、ビール、スピリッツ業界の大手企業として急速に発展する大麻市場に参入した初めての企業となりました。
2つの世界が衝突
スヴェトカ・ウォッカも蒸留するコンステレーション・ブランズ社は、カナダを拠点に置く大麻企業キャノピー・グロース・コーポレーション社に1億9100万ドルの投資を行いました。
この額はキャノピー社の株式の10%に相当しますが、この取引にはコンステレーション社が将来的にキャノピー社の持分権をさらに購入するという選択肢が付いています。
この買収以降、コンステレーション社株価は時間外取引の間に約1%増加しました。
大麻は今でも連邦レベルでは違法とされているため、この戦略をリスキーだと考える人もいます。コンステレーション社はこのリスクを取った唯一のアルコール事業社ですが、最高経営者のロブ・サンズはウォール・ストリート・ジャーナル誌に対して「これは計算された戦略であり、競合企業より優位になれたと考えている」と語りました。
「我々は明らかに先行者利益を得ようとしています」
またサンズは、大麻が連邦レベルで合法化されるのは時間の問題だと考えている、とも付け加えました。
「州レベルで起こっていることを考えると、連邦レベルでの合法化も非常にあり得ることだと考えています」
娯楽用大麻が合法化されたのは8つの州(アラスカ州、カリフォルニア州、コロラド州、メイン州、マサチューセッツ州、ネバダ州、オレゴン州、ワシントン州)およびコロンビア特別区のみですが、この他に医療大麻を合法化した州が22州あり、その数字は増加することが予測されています。キャノピー社はカナダで認可された最大の医療大麻製造業社で、22億カナダドル相当の評価があります。
カナダが2018年7月までに嗜好品としての大麻を合法化する予定であることも、キャノピー社にとって吉兆です。大麻入り食品や飲料も翌年以降合法化されることが予測されているため、コンステレーション社にとっても多額の投資回収となりそうです。
コロナが大麻グリーンラッシュに投資
アメリカにおいても州レベルで大麻合法化が進んでいますが、コンステレーション社は州レベル、連邦レベルの両方で大麻が合法化されるまでアメリカ国内で大麻製品を販売することは考えていません。
アメリカの政策に関係なく、カナダだけでも著しい収益性があります。
現在、大麻を利用している多くの既存の製薬会社、ならびにカナコード・ジェニュイティ社が計算したカナダにおける大麻株価指数は、大麻の株価が過去1ヶ月で36%増加したことを示唆しています。
コンステレーション社の短期的オプションは、合法化に際してカナダのみで販売するノンアルコールの大麻入り飲料を開発することだろう、と分析家は見ています。合法化後の大麻市場は50〜100億ドルの市場価値を持つと推定されています。
コンステレーション社による投資は、アルコール、タバコ、製薬会社を含むさまざまな産業に大きな影響を与えるだろう、とエイト・キャピタル社のアナリスト、ダニエル・パールスタインは考えています。
「この戦略は、キャノピー社だけでなく、業界全体にとって完全に形勢を一変させる出来事です」
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実際、大麻が合法化された後に多大な経済効果があることは疑いようもありません。それをゴールドラッシュになぞらえて、グリーンラッシュという言葉ができたほどです。アメリカでは2020年までに合法大麻市場が80億ドル以上に成長すると考えられています。現在、アメリカで娯楽用の大麻合法化を支持する人は60%を超えており、州レベルでの合法化が加速していますが、その背景には経済効果を見込んでいる部分も大きいのでしょう。
一方の日本では、娯楽用はもちろん医療大麻も合法化されていませんし、世間では「大麻は危険なものである」という認識が根強く残っています。このため、合法化されるとしてもはるか先のことになりそうですが、こういった経済効果のことを考えても、大麻に対する見方を変えてあらゆる可能性を探った方が賢明かもしれません。
実際に、医療大麻などを合法化した州で未成年の大麻使用が増えたという報告はありません。もちろん来年に大麻が合法化されるカナダでも未成年への販売は禁止されます。これらの合法化した州・国で見られる経済的・社会的影響を調べ、日本での対応も検討するべきではないでしょうか。
