アメリカではペンシルバニア州議員のトム・マリノが正式に麻薬対策トップの指名を辞退した今、誰が次に指名されるのかについて大きく議論されています。そして次のような噂が出ているようです。「トランプ大統領の麻薬問題担当長官になるのはフロリダ州の司法長官なのか?」
パム・ボンディ:合理的な次の選択肢?
ニュースメディア、サンシャイン・ステート・ニュースおよびフロリダ・ポリティクスはどちらも、パム・ボンディが全米麻薬撲滅対策室(ONDCP)トップに指名される合理的な選択肢ではないか、と提言しています。これは、ボンディが現在、トランプ大統領の麻薬中毒およびオピオイド危機撲滅委員会に参加しており、トランプ大統領との関係があるためです。ボンディは今年のはじめに、委員会メンバーに指名されました。
しかしボンディによると、大統領は麻薬対策トップの使命に関して悩む必要はないかもしれません。
火曜日、元タンパ市検事はタラハシー市で報道陣に対し、麻薬対策トップは国家の薬物政策を正道に維持するために不可欠な地位だと確信しているわけではない、と述べました。米国麻薬取締局(DEA)やその他薬物規制に尽力している機関はすでに優れた業務を行なっていると元検事は述べ、さらなる指導は必要ないことを示唆しました。
「私はワシントンDCによく行きます。DEAは素晴らしい仕事をしています。大統領府も優れた業務を行なっています。新たな職務が本当に必要なのか、私には分かりません」
ボンディは数年にわたってフロリダ州における薬物問題と闘ってきたことから、ボンディは適任者だと考える人もいます。2010年から現在の地位についているボンディは、処方箋綴りを乱用する医師に対してより厳しい刑罰を要求する政策を後押しした貢献者です。フロリダ州で医師らが自身の診療所外で大量のオキシコドンやその他危険なオピオイド鎮痛剤を闇取引していた問題が発覚した際、ボンディは警察の力を借りてアメリカでオキシコドンを販売している主な医師ら数百人を休業させました。
しかし、ボンディによる犯罪を厳しく取り締まるアプローチは問題を解決しておらず、問題の形や名前が変わっただけだということを示す最新の統計も出ています。今フロリダ州では今、以前は鎮痛剤を摂取していた人々がヘロインに移行しているようです。つまりオピオイド中毒者が、オピオイド鎮痛剤を手に入れることが難しくなったため、違法薬物のヘロインに手を出すようになっているということです。
フロリダ州は、2010年に鎮痛剤の大量処方を取り締まって以来、ヘロイン関連死が1250%も増加しました。犯罪を厳しく取り締まる政策は間違いなくトランプ大統領やジェフ・セッションズ司法長官に支持されるでしょうが、国家レベルでは破滅的な影響となる可能性があります。
なぜトランプ大統領の麻薬対策トップの選出がこれほど重要なのか
現在トランプ大統領には、アメリカを席巻しつつあるオピオイド蔓延危機に関して何か対策を取らなければいけない、という重圧がかかっています。新たな連邦データによると、昨年1年間で64000人以上がオピオイドによって亡くなりました。そのうち半数以上は、医師が処方した鎮痛剤の乱用が原因です。
そればかりか、一般市民までもがTVをつける度に、またはインターネットを検索する度にオピオイドがもたらした死に関する恐ろしい話に晒されています。要するにアメリカ国民は、国中の人々がヘロイン中毒になる前に問題解決のための対策をするよう要求し始めているのです。
トランプ大統領は8月、オピオイドの蔓延に関して国家の非常事態宣言をする準備があると述べましたが、これまでのところ何も成されていません。大統領は先日、公衆衛生の非常事態を宣言しました。
ボンディは記者に対し、週末にワシントンDCへ赴き、委員会でオピオイド蔓延について議論する予定だと述べました。しかし、ボンディが合法的な医療大麻も潜在的な解決策とするコンセプトを提案することがないのは確実です。
2014年、ボンディは、フロリダ州における医療大麻合法化イニシアチブに対して積極的に反対活動を行いました。昨年はこの法案に反対活動をしませんでしたが、ボンディは今でも法案に反対です。またボンディは今、「ユナイテッド・フォー・ケア」創設者ジョン・モーガンが患者に医療大麻を喫煙する権利を提供することを求めて起こした訴訟を却下するように裁判官に頼んでいます。もし大麻喫煙ができるように法律を変えたいのなら、連邦法を変えるべきだと主張しています。
鎮痛剤の代替案:医療大麻・CBD
とはいえ、過去に例を見ないほどオピオイド鎮痛剤やヘロイン中毒が蔓延しているアメリカでは、早急な対策が必要です。そして犯罪としての厳しい取り締まりが成果を成さなかったフロリダ州の例を考えると、別のアプローチを考えなければなりません。
医療大麻は優れた鎮痛作用を持つため、医療大麻が合法の州ではがんや慢性痛、神経障害痛などの疾患に対して鎮痛剤として広く使用されています。また大麻に含まれる成分CBDも鎮痛作用があるとして、CBDオイルなどさまざまな製品が販売されています。CBDは精神活性作用を持たず、中毒性も非常に低いため、オピオイド鎮痛剤の代案として有効と言えるのではないでしょうか。
医療大麻が合法の州では、オピオイド関連死が減っているという報告もあります。トランプ大統領は大麻の合法化に前向きではないという見方もありますが、この非常事態を終焉させるためにはオピオイド鎮痛剤から医療大麻やCBDオイルへとシフトさせていくという対策を取るのも一つの手段ではないかと思います。
