医療大麻合法化に熱心な提唱者であるHempMedsメキシコの代表ラウルは、メキシコの医療大麻改革を先頭に立って進めています。
その理由は、レノックス・ガストー症候群を患っている娘へのてんかん発作をコントロールするためです。娘への愛情があれば、父親は大きな困難に立ち向かうことができます。しかし、娘の発作を目の当たりにすると、娘の小さな腕が硬直したり痙攣したりするのを見て、無力感を覚える心情にすらなります。ラウル・エリサルデは、1日に何百回も発作を起こす娘を見ながら、いつもそのように感じていました。
娘の苦しみを軽減させる方法を死に物狂いで探していたラウルは、メキシコ政府に異議を唱え、医療大麻に対する国の見解を大きく変えました。
悲痛な診断
ラウル・エリサルデとその妻マエラ・ベナビデスは、最初の子どもグラシエラを家族に迎えたとき、とても喜びました。グラシエラは彼らにとって、完璧な女の子の赤ちゃんでした。
しかし、生後ほんの数カ月後に、医師から精神運動性障害や何か異常があることを示す兆候を指摘されました。グレースの両親もそう感じていました。
はてしない一連の検査、専門家との面会、効果のない治療の後、グレースの医師はレノックス・ガストー症候群という診断を下しました。
認知障害や発達障害に加えて、レノックス・ガストー症候群の患者は、1日に数百回もの発作を起こします。グレースは何人もの医師のもとを訪れ、てんかん発作をコントロールするための数多くの薬を試しましたが、発作を減らすことはできませんでした。
メキシコの幼児病院の医師は、発作を抑えるために脳梁の4分の3を切断する「カロソトミー」という手術を行いました。しかし、家族が期待するような結果は得られませんでした。グレースの症状は改善されず、むしろ発作の強さが増したのです。娘のQOL(生活の質)を向上させるために、両親は別の方法を探し始めました。
アメリカ、カナダ、スペイン、ウルグアイ、ブラジルでは、多くの人々がCBD製品を日常的に摂取していることを知りました。しかし、メキシコの法律によって、この道は断たれてしまいます。2015年10月、一家は当時7歳だったグレースのためにCBD製品を輸入する権利を求めてメキシコ政府を訴えました。
Por Graceの設立
グレースとの経験、レノックス・ガストー症候群の診断、政府との闘いの中で、同じような境遇の家族と情報を共有し、自分たちと同じように苦しんでいる人々に希望を与えるために、エリサルデ一家は、娘の人生を記録したFacebookページとして「Por Grace」という団体を立ち上げました。
まもなく、メキシコや世界中で絶望していた親たちが彼らと連絡を取り始め、”経験や治療情報、薬や車椅子など障害に関するあらゆるものの寄付に関する情報の交換”を目的とした家族のネットワークが作られました。
最終的に、ラウルとマエラはこの活動を正式なものとし、「Por Grace基金」を設立しました。この財団は、グレースのような疾患に対する意識を高め、患者と医師を結びつけ、教育的なイベントを企画し、さらには寄付金を最も必要とする場所に届けるための支援を行っています。これまでに、Por Graceはメキシコで300以上の家族を支援しており、今後もメキシコやラテンアメリカ全体の患者を対象に活動を拡大し続けています。
メキシコでの医療大麻合法化と大統領の前でのスピーチ
ポルグレースと、ラウルとマエラのような家族は、最終的にはメキシコにおける医療大麻の合法化を成し遂げることになる草の根運動を始めました。
2015年のタウンホールミーティングや2016年にPor Graceが主催した啓発イベントは、世論の変化を引き起こし、メキシコシティのミゲル・アンヘル・マンセラ市長やメキシコシティの大司教であるノルベルト・リベラ枢機卿(きょうきょう・ローマ カトリック教で、教皇(=法王)の選挙・補佐に任ずる聖職位。教皇の最高顧)をはじめとする政府や宗教指導者からの支持が相次ぎました。
この活動は、メキシコで最初の患者に医療用大麻製品を輸入する特別認可を与えることにつながり、より劇的な医療大麻改革のための舞台が整いました。
2016年の春、カリフォルニア州とメキシコは、医療大麻を推進するために国境を越えたフォーラムを開催しました。元カリフォルニア州議会議員のロリ・サルダーニャ氏とサンディエゴ市議会議員のデビッド・アルバレス氏が、ティファナ州政府関係者と一緒に教育的なフォーラムに参加しました。Por Graceもイベントに参加し、マエラが家族の体験を語りました。
同様のイベントは2016年にメキシコ各地で開催され、ペニャ・ニエト大統領が演説で医療大麻に関する新たな政策を検討していることを発表するまでに至りました。ラウルはメキシコ大統領の前に招かれ、自分の体験を語りました。彼のスピーチはこちらでご覧いただけます。
その後、メキシコ政府は、医療大麻に関する新たな見解の作成に着手しました。最初に、メキシコの上院が新法の承認を決定しました。その後、下院でも374対7の圧倒的な賛成票で可決されました。最終的に、2017年6月19日にペニャ・ニエト大統領が新法に署名しました。
HempMedsメキシコCEOにラウルが就任
メキシコが新しい医療大麻政策を施行したわずか数日後に、ラウルは統括マネージャーとしてHempMedsメキシコに入社しました。ラウルは、HempMedsメキシコの社長として、彼の家族との個人的な経験、政府との戦い、そして医療大麻を推進する人物としてのプロフィールを活かしています。
ラウルは、HempMedsメキシコのモンテレイの新オフィスでテープカットを行い、ラウルはこの新オフィスで、新しい医療大麻法を活用して、メキシコでの事業拡大を進めています。
世界保健機関(WHO)でのスピーチ
ラウルは、メキシコにおける医療大麻改革のための功績により、世界保健機関(WHO)から、薬物依存に関する専門委員会の第39回会合での講演に招待されました。
この委員会でWHOは、オフェンタニル、カルフェンタニル、プレガバリン、トラマドール、カンナビジオール、ケタミンと他の11の物質に焦点を当てて、国際薬物分類に関する単一条約、向精神薬に関する条約、麻薬に関する単一条約の変更を検討します。
ラウルは委員会で、カンナビジオールが精神作用を持たないことがその使用における大きな利点であると話す予定です。この委員会がカンナビジオールの国際的な薬物指定に対してどのような勧告をするかは、世界中のカンナビジオールの合法性に波及効果を及ぼすでしょう。