ヨーロッパにおけるさまざまな医療大麻規制は複雑です。CBDオイル製品が合法とされるのはどの国でしょうか?アメリカでますます多くの州で医療大麻が合法化されつつあるなか、ヨーロッパ各国ではどのような法律があるのか調べました。
アメリカでは少なくとも州レベルでは、医療大麻の法令に関して前向きに進んでいます。一方で、ヨーロッパ大陸には大麻の花においてもヘンプの栽培においても長く不穏な大麻の歴史があります。 本物の医療大麻エキストラクトに関しては多くの点においてヨーロッパの方が優勢です。
EU圏内の多くの国ではTHCカプセルや経口スプレーとしての大麻エキストラクト、舌下スプレーと行った大麻オイル製品が好まれています。イギリスのサティベックスと呼ばれる薬にはTHCとCBDが同量含まれており、舌下に噴射できます。サティベックスは多発性硬化症(MS)の症状緩和向けに承認された医薬品で、オーストリア、ベルギー、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロヴァキア、スペイン、スウェーデン、イギリスで処方されています。
ヨーロッパでは以下4種類の認可された大麻系医薬品が入手できます。
・サティベックス(ナビキシモルス)
説明:THCとCBDが同量の大麻エキストラクト(オイル)
疾患:多発性硬化症(MS)
形態:舌下スプレー
・マリノール(ドロナビノール)
説明: 合成デルタ-9-THC
疾患:がん治療、AIDS、MS
形態:ゼラチンカプセル
・セサメット(ナビロン)
説明:THCに似た合成カンナビノイド
疾患:がん治療
形態:カプセル
・ベドロカン
説明:乾燥させた花の先端(粉末の場合もある)。5種類の大麻株で入手可能
疾患:多様
形態:植物原料
ヨーロッパで医療大麻処方規定を持つ主な9ヶ国について調べました。
・オーストリア
大麻がTHCを0.3%以上含んでいる場合は薬物とみなされ、違法です。0.3%未満の場合は合法です。オーストリアでは、ナビロン(合成カンナビノイド)がセサメットとして販売されており、2013年に承認されました。
オーストリアは、認可を受けた医師による処方箋があれば、ドロナビノールやサティベックスといった合成大麻薬剤の販売を認めています。THCを生成する目的で大麻を栽培するのは違法ですが、大麻の種子や苗は合法的に購入できます。
・チェコ
チェコでは医療大麻国家機関が、医療大麻の使用を管理する医薬品管理当局内にあります。医療大麻国家機関は薬剤および処方箋に関する規定を設定し、後者は使用方法ならびにTHC量(最大21%)を提示しなければなりません。国全体で大麻を処方する権限を与えられている認定医師は16人、販売できる薬局は26店舗です。
・フランス
大麻の栽培・販売・所持・摂取は禁止されていますが、2013年6月に大麻派生物を含む医薬品の販売を許可する法律が成立しました。疼痛、吐き気、トゥレット障害、神経系の炎症疾患を含むさまざまな疾患に対してマリノール(ドロナビノール)といった健康製品を使用するために、健康製品安全保障局から認可を受けることは可能です。
・ドイツ
ドイツでは、医師の管理下の治療の一環として大麻を入手・所持・摂取するために、医薬品研究所から特別許可を受けることは可能です。さらに科学機関および行政機関が大麻の栽培・所持の許可を受けることもできます。薬局は、患者に大麻系医薬品を販売する特別許可を得ることができます。2016年5月、ヘルマン・グレーエ厚生相は2017年に医療大麻を合法化することを発表しました。
・イタリア
イタリアでは保健省が医療大麻の使用をまとめており、栽培・生産・所持・使用に関する許可を発行することができます。大麻の使用は、従来の治療が効果を示さなかった症状の治療に限られています。適格条件は、多発性硬化症のけいれん、慢性痛、化学療法またはHIV治療に伴う吐き気、がんまたはAIDSにおける食欲減退、緑内障、トゥレット障害です。大麻栽培の許可を持つ農家は保健省に大麻を届ける権限が与えられており、それを保健省が薬局に販売します。
・オランダ
オランダでは医療大麻局(OMC)が、医療大麻を薬局や一般の医師に供給できる唯一の政府機関です。OMCは異なるTHC量(1%未満から約22%まで)やCBD量(1%未満から約9%まで)をもつ医療大麻の栽培品種を提供しています。症状緩和のために医療大麻を処方できるのは、多発性硬化症、HIV/AIDS、がん、慢性痛、トゥレット障害に伴うチックです。摂取の推奨方法は、ヴェポライザーを用いた吸引およびお茶への注入などが含まれます。
・スペイン
医師は、がんの化学療法における吐き気・嘔吐に対してセサメット(ナビロン)およびマリノール(ドロナビノール)、複数の疾患の治療に対してサティベックスを処方することができます。スペインの法律では大麻の娯楽使用と医療使用を区別していませんが、刑事裁判所では通常、娯楽使用の被告より医療使用の被告を寛大に扱います。現在のところ、医療大麻を必要とする人々は入手・仕様のために、主に大麻クラブに行きます。
・スイス
スイスでは、0.3%を限度とするEU諸国と異なり、最大1%のTHCを含むCBDバッズが合法とされています。スイスはEU加盟国ではないので、製造業者は販売を国内のみに制限しています。複数のスイス企業が、THCをほぼ1%含むために他のヨーロッパ諸国では禁止されるようなCBD株を栽培していますが、ヨーロッパや諸外国の要件に準拠するために低濃度THC品種のオイル、エキストラクト、チンキ剤も提供しています。
・イギリス
大麻はスケジュールI、クラスB薬物とみなされていますが、大麻系製品ナビキシモルス(サティベックス)のみは限られた条件で、合法的に処方・供給することができます。2006年に内務省は、ナビキシモルスを多発性硬化症患者の治療プログラムの一環として医師が個別に処方できるように、また薬局が販売できるようにナビキシモルスを認可しました。
このほか、CBDが合法とされるヨーロッパ諸国は、ブルガリア、ベルギー、クロアチア、キプロス、デンマーク、エストニア、フィンランド、グルジア、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、ラトビア、ルクセンブルク、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、ロシア、スロベニア、スウェーデンです。
このように医療大麻に関する情報はアメリカよりもヨーロッパの方がはるかに進んでいることが分かりますね。現状日本ではCBDオイル製品のみしか許されていませんが、このようなヨーロッパ情勢からしてもCBDに対する効果が期待できることが分かるのではないでしょうか。

参考:Cannatech