中国が優位なのは製造業だけだと思っているなら、それは間違いです。実は中国はヘンプオイルの主要生産国でもあるのです。中国国家統計局によると、アメリカに輸入される合法ヘンプの半数は中国産であると推定されています。現在、カンナビジオール(CBD)による数多くの健康効果のためにCBDに対する需要はますます拡大中です。
中国におけるヘンプの起源
この動きはいつ始まったのでしょうか?大麻の所持・栽培が1985年に違法化された中国の大麻の歴史は興味深いものです。
中国では、大麻は約3000年にわたって自由に栽培されてきました。また、中国は世界におけるヘンプに関する特許606件のうち半数以上を所有しています。そのほとんどは植物薬に集中しています。特許の多くは、ヘンプの繊維および薬効特性に関する政府後援の研究から生じています。
これらの研究は、1970年代の中国とベトナム間の戦争中に実施されました。湿ったジャングルで戦闘が行われたため、兵士らは常に濡れていました。ヘンプの繊維は通気性があるためヘンプ製布は乾きやすいことを研究者が発見しました。さらなる研究は、野戦病院におけるヘンプの利用に関わるものでした。
一定の供給を必要とするため、ヘンプに対する需要は高まりました。研究者は、厳しい気候条件でも生き抜くことができるハイブリッド種を作り出しました。現在ヘンプは、国内で最も気候条件の厳しい中国最北部の黒竜江省で合法的に栽培されています。また一部の栽培品種は、ゴビ砂漠に接する北部地方の乾燥条件での生きることができます。
中国のヘンプ農家は、非合法化されたにも関わらず“緑色の金”を栽培することに大きな意欲を感じています。従来の作物では1ヘクタールで平均124ドルを稼げるのに対して、ヘンプでは1ヘクタールで1500ドル稼ぐことができるからです。高い利益が得られるのは、ヘンプに数多くの用途があるためです。ヘンプは繊維産業の原材料です。ヘンプの茎は美しい天然衣服を作り出します。製薬会社もまた薬を作り出すために葉を利用し、この需要の一因となっています。食品産業は飲料、スナック食品、ヘンプシードオイルの生産に種子を必要とします。
これらの要因すべてによって、中国はヘンプオイルならびにその派生物に関する比類のない輸出国となりました。その他大手生産国には、フランス、チリ、オランダ、カナダがいます。医療におけるCBDの利用が拡大しているため、かつて製紙に利用されたヘンプは今、中国における経済的成功の次の波を起こすでしょう。例えば、イギリスの医薬品庁はCBDオイル製品を医薬品とみなしています。
ヘンプCBD産業における懸念
もちろんヘンプ産業における中国の優位に関する懸念も増えています。最も大きく注目しているのは、CBDオイル製品の多くが中国産であることを知らずにCBDを使用しているアメリカです。
アメリカのほとんどの州で全ての種のカンナビス・サティバの栽培が未だに禁止されていることを考慮すると、主要生産国としての中国の役割はお墨付きです。イギリスでは大麻の栽培・所持は厳しい処罰の対象です。ヘンプの栽培が合法の米国州における栽培者が中国の影響を抑えるような生産量をあげようとしたとしても、変化を起こすのには数十年かかるでしょう。中国はすでに急成長に対する準備ができています。残念ながら、中国に打ち勝つことは難しいでしょう。ヴェポライザーで老舗のカンガーテック社ですら中国企業なのです。
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CBDに関するニュースは欧米のものが多いので、お隣の中国に関するニュースは興味深いですね。中国では嗜好用でも医療用でも大麻は違法で厳しく罰せられますが、CBDオイルは合法であるようです。中国四千年の歴史の中で、大麻を医療用、繊維用と全国的に利用してきた国で医療大麻が禁止されているのは不思議な感じもしますが、中国では今年の春に初めてCBDに関する研究会社が設立されたので、今後それも変わっていくかも知れません。中国は今後CBDオイルの生産国になり得る可能性もありますね。
日本人が昔に抱いていた中国という国ではありません。今の中国は政界規模でビジネスを展開することができ、世界の工場の担い手になる思いますね。個人的な考えではありますが、人口14億近くいる人々の医療費を軽減することは、国にとって相当ハードルが高く、医療大麻を導入することによって、何千億や兆円規模で削減できる可能性を見出そうとしているのではないかと考えているのではないでしょうか。
だから、積極的に政府が大麻研究を支援し、今後医療で使用されるであろう研究を推し進めて特許所有をすることで、国を挟んだビジネスへの展望も見えてくるでしょう。そんな時代は遅かれ早かれ、高い確率で到来し、その時までに日本ができることを考えていく必要性がありませね。
参考:CIITECH