医療大麻を娯楽目的で入手しようとする人は存在するのか?

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日本ではまだ医療大麻合法化の議論が始まったばかりですが、反対する人の多くが考えることに「医療大麻を合法化すると、娯楽目的の使用者が嘘をついて医療大麻を入手し、乱用するのではないか?」という点があります。実際に医療大麻を合法化した国々では、そういった“医療大麻が必要なフリをする”娯楽目的のエセ患者はいるのでしょうか?医療大麻を2001年に合法化し、嗜好用大麻も2018年7月から合法となるカナダの例を調べた記事を紹介します。

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カナダの医療大麻プログラムには“フリをする人”たちが多く存在するのでしょうか?娯楽目的の大麻使用者が医療大麻プログラムに参加しようとするのをやめさせるために、プログラムに課税するのは必要なことでしょうか?カナダ政府はまさにそういった考えから、国家の医療大麻システムに新たな税を課税しようとしています。

オタワ州は医療用、娯楽用に関係なく大麻生産者に10%の物品税を課すことを発表しました。医療プログラムを通じて販売される全ての大麻は、連邦消費税および地方消費税を課されます。2013年に現行プログラムの施行された際に税制度は導入されていたので、課税自体は医療大麻患者にとって新しいことではありません。

しかし今、連邦政府は、非医療大麻の合法化の一環として、製造する製品が医療患者向けであるか嗜好用消費者であるかに関わらず、大麻生産者に10%の物品税を課すことを予定しています。

カナダ自由党のビル・ブレア下院議員は11月にザ・グローブに対し、次のように述べました。

「政府は機能的な医療大麻システムの維持に尽力しています。それと同時に、課税水準がシステムを不正利用する人々の誘因になるのを避けたいと考えています。私たちは医療用と非医療用に対して同一の課税水準を提案しました」

政府は、先日のジャスティン・トルドー首相の発言に追随するようです。トルドー首相はトロントのTV番組「ブレックファースト・テレビジョン」に出演した際に次のように述べました。

「多くの人が嗜好用大麻を入手する方法として医療大麻産業を利用しているという事実があります」

この発言に対して激しい反応が起こりました。カナダの合法医療大麻システムによって息子のリアムが高濃度CBDを利用しているというマンディ・マクナイトは、皮肉を込めてこうツイートしています。

「少数の人が“医療用”を隠れ蓑にしているので、正当な医療患者に99%課税しましょう。これがカナダで政策を作るやり方なの?」

マクナイトの意見は興味深い疑問を提示しています。実際、どれほどの人々が娯楽目的でシステムを乱用しているのでしょうか?

実際に医療大麻を乱用する人はいるか?

Leaflyは、トロントの複数の医療大麻志向の診療所で勤めた経験のある医療大麻コンサルタントのブライアン・キーランズに話を聞きました。

「政府が考えるほど多くの人はシステムを乱用していないと思います」

純粋に娯楽目的で大麻を得ようとしている患者の割合について聞くと、マクナイトと似たような返事が返ってきました。

「数字は分かりません。でも私の勘では1%未満です。私はこれまでに1年以上診療所で働いてきました。嗜好用大麻が欲しい人たちは、診療所に来たのだと気づくと帰ってしまいます。おかしな言い訳を素早くして去っていきますよ」

「手っ取り早く大麻を入手したい人に向けた異なる提案をする診療所もあります。しかし通常は、だからと言ってそれらの人々が娯楽目的で来ていることの意味するわけではありません。それは絶望した病人で機会が提供されればそれを追い求めたい人々であることが多いです」

医療大麻システムの懸念事項

医療大麻システムの懸念事項を1つ挙げるなら、患者が認可された生産者から大麻製品を購入した後、その正式なボトルを闇市や違法な大麻薬局から購入した大麻を保管するのに使用する可能性があることだ、とキーランズは言います。彼はそれを「ボトル・スタッフィング」と呼んでいます。

一部の診療所では、認可された生産者から提供された情報を通じて患者の購入パターンを追跡してさえいます。「リニューアルに際して、患者が購入に戻ってこないことを懸念する場合、診療所は患者に購入パターンについて聞くでしょう」とキーランズは言います。またボトル・スタッフィングすることは必ずしもその人が娯楽目的のみの使用者であることを意味しない、と述べました。

最も重要なことは、全ての大麻処方薬が地方の大学によって精査され、医師らが自分の医療大麻免許に関して特に慎重になるように監視されるということだ、とキーランズは言います。

「全ての診療所には大麻を処方するための標準的麻薬評価があります。全ての診療所が大学によって深く精査されるからです。彼らは合法的に麻薬を処方しているのであり、処方するためにはしかるべき段階を踏まなければなりません」

標準的麻薬評価には、大麻に依存している可能性のある患者を突き止めるための標準的質問事項が含まれ、依存性向に関する質問もあります。

キーランズ個人としては、医療大麻に課税する政府の考えには賛同していません。この見解は、今年の初めに患者支援団体カナディアンズ・フォー・フェア・アクセス・トゥ・メディカル・マリファナが始めた取り組み「#DontTaxMedicine(薬に課税しないで)」の一環として、政府に抗議メールを送った1万3000人以上の人が共有する意見です。この数字はカナダで医療大麻患者登録をしている20万人のうち5%以上を占めます。カナダ政府はこれに関して対処し直すべきでしょう。

カナダの研究で分かった!大麻は代替薬として有効

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カナダ政府は、医療大麻の娯楽目的の転用・乱用を防ぐために課税を追加することを考えているようですが、正確な数字は出ていないとはいえ、実際の現場の声を聞くと体感的な娯楽目的の医療大麻利用者の割合は1%未満とかなり少ないようです。カナダでは医療大麻が合法化されてから16年が経っていることを考えると、やはり医療大麻を合法化しても娯楽目的の転用・乱用は増えていない現状が伺えますね。日本で医療大麻合法化について考えるときは、カナダの事例を参考にすると良いのではないでしょうか。

参考:leafly