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CBDの人体に対する作用について調べると必ず登場する化合物アナンダミドについて詳しく解説します。アナンダミドは人体が自然に生成するカンナビノイド化合物です。アナンダミドはサンスクリット語で「至福」を意味する「アナンダ」にちなんで名付けられました。アナンダミドはエンドカンナビノイドシステムと相互作用するので、広範囲の効果を持ちます。アナンダミドは報酬、気分、食欲、鎮痛、生殖などの機能において役割を果たします。本記事ではエンドカンナビノイドシステムにおけるアナンダミドの役割、人体への効果、またアナンダミド量の増やし方について説明します。
エンドカンナビノイドシステム
アナンダミドはエンドカンナビノイドシステムの一部であるカンナビノイド神経伝達物質です。この生理学的システムは体と脳に広く分布しており、数多くのさまざまな効果に関わっています。エンドカンナビノイドシステムはカンナビノイドとその受容体から構成されます。CB1受容体は主に脳に分布し、CB2受容体は体内に広く分布する傾向にあります。アナンダミドはCB1およびCB2受容体に結合し、またTRPV-1受容体(バニロイド受容体)を調節することも知られています。
体に影響を与えることができるカンナビノイドには2種類あります。1つ目のグループはエンドカンナビノイドです。エンドカンナビノイドは体内で自然に生成されるカンナビノイドで、アナンダミドや2-AGがこれに含まれます。2つ目のグループはフィトカンナビノイドとして知られています。「フィト」とはギリシャ語で植物を意味します。つまりフィトカンナビノイドは大麻などの植物から派生します。植物性カンナビノイドにはTHC、CBD、 CBNやCBGなどがあります。
エンドカンナビノイドシステムの中には、カンナビノイドを分解するのを助ける酵素もあります。FAAHはアナンダミドを分解する酵素です。興味深いことにCBDはFAAHを阻害し、体内のアナンダミド量を増加させます。
エンドカンナビノイドは典型的な神経伝達物質の振ろうと逆行するので、興味深い存在です。こういった類のシグナル伝達は逆行性伝達と呼ばれ、独自の効果を体にもたらすエンドカンナビノイドの特徴です。アナンダミドやその他エンドカンナビノイドは逆行して伝達し、他の神経伝達物質の流れを変えます。だからエンドカンナビノイドはモジュレーターであるとしばし説明されるのです。すなわち、エンドカンナビノイドは体内のその他システムや脳の作用に影響を与えます。
カンナビノイドの発見の歴史
エンドカンナビノイドシステムは、まだ科学界から比較的あまり理解されていません。実際、大麻に含まれるカンナビノイドはエンドカンナビノイドシステムが発見されるよりずっと前から研究されていました。
THCを最初に分離させたのはイスラエル人の科学者ラフェエル・メコーラムです。しかしエンドカンナビノイドシステムは1980年台後半になって、ホーレットとディヴェーンがCB1受容体を発見するまで謎に包まれたままでした。その後1992年に科学者らはアナンダミドを発見します。アナンダミドは体内に初めて発見された内因性のカンナビノイドでした。1995年、科学者は2-AGと呼ばれるもう一つのエンドカンナビノイドを発見しました。
それ以来、ビロダミン、ノラジンエーテルを含むそのたエンドカンナビノイドも発見されてきました。それでもまだ科学者はエンドカンナビノイドシステムの表面を引っ掻き始めたに過ぎません。
アナンダミドの効果と役割
アナンダミドは生殖、妊娠、食欲調整、報酬、細胞調節、記憶、鎮痛、気分における役割を含め、数多くの効果を持ちます。CB1とCB2受容体は体内に広く分布しているので、アナンダミドがこれまでに発見されていない効果を持つこともあり得ます。さらなる研究がアナンダミドに関する事実を明らかにしていくでしょう。
鎮痛
アナンダミドは人体に備わっている自然な鎮痛化合物の一つで、疼痛調節はアナンダミドの主要な機能の一つだと科学者は考えています。
1999年の研究で科学者は苦痛を伴う化合物をラットに投与し、脳内のアナンダミド量を測定しました。科学者は、痛みに応じてアナンダミドが放出されたことを発見しました。ラットに追加で合成アナンダミドを投与すると、痛みへの反応が下がりました。これはアナンダミドが痛みの減少を引き起こしたことを示唆しています。1998年の研究でも同様の結果が発見されました。アナンダミドはマウスにおける効果的な疼痛治療法であることが分かりました。
より最近の研究では、アナンダミドの鎮痛効果はアナンダミドが調節するTRPV-1受容体に関連していることが分かりました。バニロイド受容体としても知られるこれらの疼痛受容体は、香辛料を食べた時に感じる痛みの一因となっている受容体と同じです。
食欲調節
アナンダミドは食欲調節に一役買っているようです。特に、空腹や食べたい欲求を刺激する可能性があります。
1999年の研究で科学者は、満腹まで食べたラットにアナンダミドを注射しました。ラットは注射後、満腹だったにも関わらずさらに多くの食べ物を食べました。アナンダミド注射が過食を引き起こしたと科学者は結論づけました。この研究はエンドカンナビノイドシステムとアナンダミドが、「通常の食事コントロール」に関わっていることを示す証拠とされています。
報酬
報酬について考えるとき、多くの人が脳内の化学物質ドーパミンを思い浮かべます。脳の報酬系路には多くのドーパミン神経細胞が存在します。報酬経路にはカンナビノイド受容体やアナンダミドを含むエンドカンナビノイドも存在します。これによって研究者らは、アナンダミドが報酬と喜びにおいて役割を果たすという仮説を立てました。
2007年の研究で、脳の報酬経路にアナンダミドを注入されたラットは甘い食べ物への嗜好が増大しました。研究者らは、アナンダミドの報酬経路におけるシグナル伝達が食物報酬に関連するポジティブな感情を強化したと結論づけました。
ランナーズハイ
運動をすると「ランナーズハイ」と呼ばれる気分の高揚が起きることは誰でも知っています。ランナーズハイとは、突然沸き起こる恍惚感、鎮痛、軽度の鎮静として説明されます。
2015年の研究では、アナンダミドを含むエンドカンナビノイドがランナーズハイにおいて不可欠であることが分かりました。これは、エンドルフィンなど、別の薬物のような内因性化学物質グループがランナーズハイに関与していることが知られていたのを考慮すると、道理にかなっています。
記憶
アナンダミドは作業記憶を損なう可能性があることを研究が示しています。作業記憶とは、例えばこの文の前半のように、どんな時でも記憶にとどめている記憶です。
1996年の研究で、アナンダミドで治療されたマウスが作業記憶テストで行動障害を見せたことが分かりました。THCも作業記憶に対して同様の効果を持つことが知られています。
気分
エンドカンナビノイドシステムは気分や感情の調節に関わっています。これらの機能に関連する脳部位の多くにカンナビノイド受容体が発見されています。アナンダミドは不安やうつを軽減すると考えられています。2014年の研究では、アナンダミドが欠如しているマウスはストレス反応においてより大きな不安を体験した一方、アナンダミド量が多いマウスはより大きな回復力を見せたことが発見されました。
2016年の研究では、アナンダミドが糖尿病マウスのうつ症状を逆転させるのに役立ちました。一部の科学者は、エンドカンナビノイド欠乏症がうつ病や不安障害の根底にあると考えています。
生殖機能
アナンダミドは男性、女性双方の生殖機能において重要な役割を果たします。アナンダミドは人間の生殖系においてホルモン、精子、卵子を調節すると考えられています。2002年の研究では、アナンダミドがマウスの胚着床において必要不可欠であることが発見されました。
2014年のレビューでは、アナンダミドが不妊のバイオマーカーまたは指標として有益である可能性があると結論づけられました。通常のアナンダミド昨日は通常の生殖能力を予測させますが、特定のアナンダミド機能における異常は不妊を予測します。
細胞調整と成長
成長中、人間の胚幹細胞は脳細胞、心臓細胞、皮膚細胞を含む多様な細胞に分化します。アナンダミドは成長中において、脳細胞が特定の種のニューロンに文化することにおいて役割を果たすと考えられています。
計画された細胞の死を意味するアポトーシスは、細胞が損傷を受けた時に一部を再利用できるように、細胞が経験する通常のプロセスです。このプロセスは、細胞が癌性であった時にも起こり、癌の拡大を防ぎます。
2000年の研究では、アナンダミドが癌性細胞の細胞死の誘発に役立つ可能性があることが発見されました。人間の神経芽細胞腫およびリンパ腫の癌細胞は、アナンダミドが多くあればあるほど死ぬ傾向にあり、アナンダミドが阻害されていると死なない傾向にありました。
アナンダミドを増やす方法
アナンダミドは自然と体内で生成されますが、いくつかの方法で体内のアナンダミド量を増加させることは可能です。
第1にできることは運動です。ランナーズハイはアナンダミドの活動と関係していると考えられています。2012年の研究では、有酸素運動がアナンダ緑量を増加させることが分かりました。
アナンダミドを増加させるもう一つの方法はチョコレートを食べることです。実はチョコレートは少量のアナンダミドを含有しており、食べることで体に影響を与えることができます。
最後に、CBDを含む大麻製品の使用によってアナンダミド量を増加させることができます。これはCBDの働きによるものです。
CBDはFAAHと呼ばれる酵素を阻害します。FAAHはアナンダミドが放出されるとすぐにそれを分解します。FAAHが阻害されると、アナンダミドはより長く体内に残り、体に作用し続けます。これによって、なぜCBDの数多くの効果がアナンダミドの効果と重なるのか説明がつきます。
まとめ
アナンダミドは1990年代前半に発見された内因性カンナビノイドです。それ以降、アナンダミドが気分、記憶、疼痛、食欲に影響を与え、細胞調整や生殖機能といったより重要な生物学的機能の多くにおいて役割を果たすことを研究が示してきました。
体内のアナンダミド量は、運動、チョコレートの摂取、CBDを含む大麻製品の使用によって増やすことができます。
アナンダミドやエンドカンナビノイドシステム全般に関しては、科学者はまだ研究し始めた段階に過ぎません。アナンダミドのようなエンドカンナビノイドはいつか将来の治療において標的となるだろう、と多くの科学者が楽観的に考えています。
参照:Leafscience