中毒(人の精神衛生やメンタルヘルスに有害な薬物や物質への依存)が増加しています。 実際にオピオイドの流行が米国で猛威を振るっており、2000年以来、合成オピオイドの過剰摂取による死亡率は4倍に上昇しています。
そして、タバコやアルコールといった州政府が支援している薬物があります。それは、中毒の容認されている側面です。アルコールによる害は、英国だけでも、毎年35億ポンドの国民健康保険を消費しており、また、合衆国の死亡者の20%以上はタバコが原因であると推定されています。さらに、中毒治療の選択肢はうまくいっていないように思われます。しかし、植物療法は、現代の問題に対する古来の答えを持っているのでしょうか?
中毒とは?
中毒は、「一貫してやめることができない、患者の行動コントロール障害、渇望、自分の行動や対人関係における重大な問題の認識低下、および感情反応の機能障害によって特徴付けられます。他の慢性疾患と同様に、中毒はしばしば再発と寛解のサイクルを伴います。治療や回復活動を行わなければ、中毒は進行し、その結果、障害や早期死亡の原因となる可能性があります」
「麻薬戦争」の反応は、中毒性物質(もちろん、アルコールやタバコは別として)の供給を断とうとしていますが、有名な中毒専門医であるガボール・メイト博士は、本質的には物質には中毒性がないことを示唆しています。「その物質がクリスタル・メス、ヘロイン、コカイン、大麻、アルコールであろうと、またはそれが、セクサホリック(セックスとアルコールに浸っていること)、インターネット中毒、ギャンブル、買い物、仕事などの行動に現れようと、その中毒を引き起こすのは実際の活動や物質ではなく、その物質や行動との内的関係であり、感受性なのです。何が感受性を生み出すのでしょうか?それは非常に単純なことです。トラウマ(心的外傷)です」と彼は述べています。
そのため、多くの中毒治療が解毒(デトックス)または退薬プロセスに焦点を当てているものの、再発を防ぐための決定的な要素は、過去のトラウマを癒すことであり、そのほとんどは中毒者の幼年期の出来事が原因となっています。
メイト博士は次のように説明しています。「トラウマは、独自の信念と対処の仕方を引き起こします。対処法の1つは、感情をシャットダウンし、感じないようにすることです。今、あなたは自分自身とは異質のものになります。そうすれば、あなたは痛みを感じることはありません。私の一人の患者が非常に雄弁に語ったように、その言葉を使うことをご容赦ください。「私が薬をする理由は、私が薬をやっていないときに感じるひどい気分を感じたくないからです。」
中毒のほとんどの症例の背後にある深い痛みや苦しみに触れなければ、再発が繰り返し起こることは容易に理解できます。ありがたいことに、母なる自然は、薬物をやめる時に起こる恐ろしい離脱症状を緩和し、長年の心の傷に癒しをもたらすいくつかの答えを持っています。
1.CBDオイル
まず最初に、科学者たちが多くの重要な中毒の欲求を安全に断ち、望ましくない副作用がないと考えている植物ベースの化合物から始めましょう。
カンナビジオールとしても知られているCBDは、大麻および麻(ヘンプ)に見い出される重要な非精神性の化合物です。CBDは完全に無毒で非中毒性であるだけでなく、研究により、他の薬物と併用した場合、CBDは実際に経験する快楽を軽減することが示されています。CBDはまた、ヘロイン、たばこからコカインまでのあらゆるものの欲求を軽減させることが指摘されています。
研究者たちはなぜこのようなことが起こるのか理解していませんが、薬物をやめるときに急増するグルタミン酸濃度を低下させるCBDの能力と同様に、CBDの5HT1-Aセロトニン受容体活性化を通じて起こる不安の軽減が寄与因子である可能性が示唆されています。
CBDオイルの更なる利点は、長期にわたる中毒によって引き起こされる脳細胞の損傷に対抗する神経保護作用です。げっ歯類で行われた研究では、カンナビジオールはアルコールの乱用によって引き起こされる神経の変性を減少させることが明らかにされました。
2.クラトム
東南アジアやアフリカで伝統的にアヘンの退薬を容易にするために使用されていた熱帯性の樹木として、クラトムは処方薬の鎮痛剤の代替品としても、強い薬物から脱却するための方法としても人気を得ています。
クラトムの主要な活性化合物は、アルカロイドミトラギニンおよび7-ヒドロキシミトラギニン(7-HMG)です。 オピオイド(モルヒネ様物質)としては分類されていませんが、オピオイドδ受容体に結合するだけでなく、部分的にオピオイドμ受容体を活性化します。
FDAとDEAは、1999年から2016年の間に処方オピオイドの過剰摂取により死亡した20万人のアメリカ人と比べてとるに足らない数である、米国における36人のクラトム関連の死亡を早急に強調しています。
禁断症状を軽減する方法としてのクラトムの可能性が、国際薬物政策コンソーシアム(the International Drug Policy Consortium)によってタイで実施された研究で調査されました。 研究者らは、ヘロインからアルコールに至るまで長期的な薬物中毒者では、「体に対するクラトムの効果が、離脱症状による痛みを軽減し、解毒の処置に役立つ」ことを発見しました。
3.緑茶、カモミール、パッションフラワー
多くの食器棚に見られる3つの植物性生薬も、中毒をやめる際の離脱症状を軽減すると考えられています。
一般に緑茶として知られているカメリア・シネンシス(Camellia sinensis)は、モルヒネに誘発されるcAMP濃度の上昇およびドーパミン受容体のシグナル伝達をともに阻害することで、用量依存的に禁断症状を軽減させるエピガロカテキンガレートを含んでいます。
もう一つの一般的な植物性生薬であるカモミールは、前臨床試験での離脱症状の急性兆候を軽減することが示されています。この試験では、軽いハーブのお茶を飲むことではなく、カモミールエキスを注入することを意味していますが、ラットにカモミールを与えると、モルヒネから離脱する際に、その欲求が顕著に減少します。
最後に、パッションフラワーエキスを、デトックス(解毒)プロセス中に処方されることが多い薬物であるクロニジンと共に投与すると、クロニジン単独で投与した場合と比較して、デトックスの際に経験する精神的不快感を軽減する能力が優れていることが示されました。
5.アヤワスカ
ほとんどの中毒の根底にある精神的外傷を治療することに関して言えば、他のものよりも抜きんでた植物薬が1つあります。バニステリオプシス・カーピ(Banisteriopsis caapi)(アヤワスカ)のつるとサイコトリア・ヴィリディス(psychotria viridis)(チャクルーナ)の灌木の葉を使用して調製された向精神性のお茶であるアヤワスカです。
アヤワスカの精神活性の効果は、幻覚性の化合物であるジメチルトリプタミン(DMT)を含むチャクルーナの葉に由来します。 しかし、アヤワスカのつるの中に見出されるハルマラアルカロイドがなければ、DMTはいずれかの精神活性効果が中枢神経系に到達する前に直ちに腸内で分解されてしまうでしょう。
しかし、アマゾンの土着の民族が何らかの形でこの特有の化学的相互作用を発見し、何千年もの間、シャーマンの儀式でアヤワスカを使用してきました。西洋人にとって、アヤワスカは内部の悪魔に直面し、過去のトラウマを癒し、満ち足りた安らぎを見つける方法になっています。それは、中毒を治療するための研究の主題となっている治療的組み合わせです。
ガボール・メイト博士は、中毒にアヤワスカを用いる最前線にいます。アヤワスカの儀式において共通に経験することは、参加者が未処理のまま残っている痛みを伴う過去の出来事を再訪することです。また、多くの人は、中毒などの習慣につながる可能性のある、心の否定的パターンも観察します。
メイト博士は次のように述べました。「もし、あなたのパターンと信念、それらの中心的な信念、そしてあなたがこれらの信念にどのように到達するのかを意識することができれば、あなたはそれらの信念を放棄することができます。硬直した感情、思考、行動パターンは開放することができます。自分自身を再調整し、内外の資源をより深く発揮することができます。だから、そこで、真の自己概念と、精神活性植物、特にアヤワスカの助けを借りて再構成することができる、あるいは少なくとも再発見することができるものに到達するのです。
薬物の再発を減らす手段としてのアヤワスカの使用を調べた研究への参加者は、それらの経験を共有しました。
「儀式の前は、私は何年もクラック・コカイン中毒に苦しんでいました。そして私がこのリトリートに行ったとき、アヤワスカは私が抱えていた、麻薬やアルコールで埋めようとしていた傷や痛みの解放を多かれ少なかれ助けてくれました。このリトリート以来、私はドラッグを止めることができています。それは私の人生に大きな前向きの影響を与えました…。私の人生に家族が戻ってきました。 私の娘は家に戻りました。そして、時間が経つにつれて、私たちは毎日仲良くなって近づいています」(女性参加者、41歳)。
他の53歳の男性参加者は、アヤワスカが解毒の際の身体感覚を助けた体験を報告しました。 「クラック・コカインや飲酒の欲求や禁断症状はまったくありません。アヤワスカがその渇望、その欲求、その習慣を取り除く限り、かなり強力なものです。私にとってその渇望は存在さえしなくなったのです」
問題のある薬物を使用している12人の被験者についての小規模な予備実験では、2つのアヤワスカの儀式とカウンセリングセッションを組み合わせました。研究者らは、「自己申告されたアルコール、タバコ、コカインの使用は減少し、報告された問題のあるコカイン使用の減少は統計的に有意だった。すべての研究の参加者は、薬物からの撤退に参加することで肯定的かつ永続的な変化を報告した」ことを言及しました。
しかし、特にアヤワスカを服用する場合、特に中毒と戦っている人が服用する場合は、注意すべきことがあります。感情的なカタルシスが起こることは珍しいことではないので、経験豊富なファシリテーター、心理学者、または先住民族のシャーマンの指導の下でのみアヤワスカを摂取するべきです。
5.シロシビン
マジックマッシュルームとして一般に知られているシロシビンは、中毒の治療に有望であることが示されているもう一つの天然の向精神薬です。
これまでのところ、シロビシンに関してはタバコ中毒を中心に研究が行われてきました。ジョンズ・ホプキンズ(John Hopkin’s)大学で実施された試験では、15人のヘビースモーカーに、認知行動療法と合わせて3期間のシロシビンを与えました。その結果、治療終了の6ヶ月後に、80%の参加者が禁煙を続けていました。
主任研究員のマシュー・ジョンソン氏は次のように述べています。「結果は決定的なものではありませんが、禁煙率はタバコ中毒の現在のところ最良とされている心理療法や薬物療法で得られる約35%に比べてはるかに高いため、シロシビンが何らかの役割を果たしていることが強く考えられます」。
シロシビンが欲求を減らし、再発を予防することに成功したのは、脳におけるセロトニン受容体の活性化によるものだと考えられています。アルコール依存症を患っている被験者を用いた小規模な実験においては、何かがシシロシビンの包含を促進しました。心強いことに、彼らは試験が終了後、36週間継続して禁酒を示しました。研究者らは、「シロシビンセッションでの最初の効果の強さは、5〜8週目の飲酒の変化を強く予測させ、また5週目の渇望の減少および禁酒の自己効力の増加を予測させました」と言及しました。
ほとんどの向精神薬と同様に、シロビシンはスケジュール1の薬物に分類されており、乱用の可能性が高く、医療上の使用が認められていないと考えられていることを意味しています。
6.イボガイン
イボガイン(Ibogaine)は、西アフリカのイボガの潅木に天然に存在する向精神性のアルカロイドです。
西アフリカの様々な地域で、伝統的に、ブウィティ(Bwiti)教のメンバーによる癒しの儀式に取り入れられてきましたが、ハワード・ロストフ氏によって1960年代に、オピオイドの断絶のための使用が発見されました。イボガインの魅力的な性質の1つは、通常、単一または限定された回数の投与後にその中毒の破壊効果が達成されることです。
ある研究では、オピオイドからのデトックスプロセスの一部として30人の被験者にイボガインを与えました。禁断症状は有意に減少し、治療1カ月後には50%が依然としてオピオイドを断絶した状態でした。
シロシビンやアワヤスカと同様に、被験者は、人生のスライドショーのようなものを目撃したと報告しており、それを研究者は「長期間の視覚的記憶の概観的で迅速な読み出しと、検索されたデータに関する平静である」と述べました。
ある参加者は次のように述べています。「イボガインは、アヘンの中毒者に数ヶ月から半年の欲求からの自由と意識の広がりを与えてくれると言って間違いありません。これにより、生活を軌道に乗せ、賢さと信念をもって、直接的かつ正直に直面していることを学ぶ、一定の期間が与えられます。イボガインはあなたのためにそれをやってくれるわけではありません。しかし、あなたがあなた自身の仕事をするのを助けてくれるのです」
しかし、イボガインは、米国および他の多くの国において、スケジュール1の薬物として分類されています。それだけでなく、主に心臓不整脈による統計的に有意な死亡数(300人中1人)が記録されています。これは、現在心臓病にかかっている人は、いかなる状況であってもこの植物を摂取するべきではないことを意味しています。
中毒になると、渇望や再発を防ぐ特効薬はありません。しかし、母なる自然が、根本的な精神的トラウマを癒すための有用なツールを提供し、不快な生理的渇望症状のいくつかを軽減してくれる可能性はあるでしょう。いずれの方法を選ぶにしても、必ずかかりつけの医師に相談し、利用可能な心理的サポートを利用し、中毒支援グループの療法や専門家と話をしてください。
