大麻草に含まれる化合物CBDが、脳損傷による長期的な影響から私たちを保護するということは可能なのでしょうか?科学者らは、CBDによる神経保護効果や抗酸化効果が脳卒中や外傷性脳損傷、出産時の酸素不足によって引き起こされる脳傷害をどのように軽減する可能性があるか研究しています。CBDは脳損傷に対する未来の治療オプションなのでしょうか?
アメリカにおけるCBDの矛盾
CBDとしても知られるカンナビジオールは、その抗炎症作用、抗酸化作用、神経保護作用といった効果のために、最近では常にニュースに取り上げられています。しかしアメリカ連邦政府は、以前から脳損傷のためのCBDに注目していました。2001年に連邦政府は、「抗酸化剤および神経保護剤としてのカンナビノイド」と題された、今では悪名高い米特許6630507を取得しています。特許には、「脳卒中や外傷といった虚血性傷害に伴う神経傷害を制限する」ことにおいて神経保護効果をもつ可能性があるとして、CBDなどの化合物が選出されています。
一方で、現在に至るまで大麻草には治療用途がないと分類している連邦政府は、植物系を噂やデタラメのせいにしていません。政府は増加する一方の証拠を調べ、CBDやその他カンナビノイドが、命を脅かすような脳損傷や退行性の減退から大切な脳を保護することにおいて重要な役割を果たす可能性を示しています。
これはなぜかといえば、私たちの頭脳を保護する際、潜在的な治療法は必ず、抗炎症作用、抗酸化作用、神経保護作用を持たなければならない、という基準を満たさなければならないことを科学者は知っているからです。そしてCBDは見事にその3つを備えています。CBDは神経炎症を抑制することが分かっているだけでなく、ビタミンCやビタミンEと同等の強力な抗酸化剤であると考えられています。また、脳損傷後の脳に次々と流入する神経伝達物質や化学物質を落ち着かせることによって、神経保護効果をもたらすと考えられています。
マドリードのコンプルテンセ大学で神経変性疾患を専門とする分子生物学教授のハビエル・フェルナンデス・ルイスは、以前にENDOCAと行ったインタビューで次のように述べています。「これはカンナビノイドの優れた利点の一つです。カンナビノイドには非常に広範な薬効範囲があり、これまで研究されてきた他の神経保護剤と比較して極めて多様です」
それでは、CBDが損傷や傷害から脳を保護することにおいてCBDが有望性を示す分野を見ていきましょう。
CBDと脳卒中
脳卒中は、動脈の肥厚によって十分な血液が脳へ流れるのを阻止された時に起こります。その結果として起こる傷害は虚血性傷害として知られ、脳細胞の死や部分麻痺、言語障害などが含まれます。
脳ならびに中枢神経系に分布するエンドカンナビノイド受容体の量を考慮すると、エンドカンナビノイドシステムが脳卒中の際に活性化されるのはあまり驚くことではありません。これによって、「グルタミン酸放出、一酸化窒素合成、成長因子発現、細胞の酸化防止活性、抗炎症サイトカイン放出、大脳の血管への白血球接着」を調節する細胞の変化が生み出されます。
結果として、科学者は今、大麻草に含まれる植物性カンナビノイドが脳卒中の事例において治療効果や保護効果をもう可能性を調査しています。THCと比較してCBDは精神活性性が欠如しており、また耐性があるため、有望な治療標的となります。研究者は、CBDが「虚血の前後に投与した際、どちらの場合も強力で長く続く神経保護効果を持つ」ことさえ発見しています。前臨床試験では、脳虚血後1日目または3日後からCBDを繰り返し用いた治療が、神経学的スコアや運動協調性を含む機能障害ならびに生存率を改善しました。
これまでのところ、これらの結果はヒトに対する臨床試験までか拡大されていませんが、いつか緊急医療室の医師が脳卒中患者の回復率を改善するためにCBDに注目する日が来るでしょう。
CBDと外傷性脳損傷
外傷性脳損傷(TBI)は、頭部に対する猛烈な打撃によって引き起こされる消耗性の症状です。はじめに起こる激しい脳震盪といった影響があるほか、症状は長く続くことがあり、認知障害や行動障害、可動性の困難、言語障害、視力障害、ひどい頭痛、劇的な気分の変動などの症状があります。
アメリカだけでも、推定530万人がTBIに関連する症状とともに暮らしています。これはアルツハイマー病患者に匹敵する数です。カンナビノイドは抗炎症効果、抗酸化効果、神経保護効果を持つため、その他神経学的疾患とともに、TBIの治療薬としての可能性が研究されています。
ここでも科学者は神経保護的なエンドカンナビノイド、2-AG値の増加に気がついており、エンドカンナビノイドシステムはTBIに対する身体反応に深く関わっています。残念ながら常に十分な2-AGが生成されているわけではないので、その働きを補うために研究者はその代替薬を探し求めています。
エンドカンナビノイドシステムをサポートする一つの方法は、植物性カンナビノイドを供給することです。現在TBIとカンナビノイドに関する研究の大半がTHCに焦点を当てていましたが、ますます多くの医師がCBDに注目しています。
リーフリー・マガジン誌の記事でグリーンブリッジ・メディカル・カリフォルニアのアラン・フランケル博士が、重大な交通事故にあった女性患者がCBDを摂取することによってのみ症状を緩和できたという事例研究を詳述しています。「4〜6週間のうちに彼女は大きな進歩を見せました。認知機能が改善し、記憶力が通常どおりに戻ったのです」
CBDと慢性外傷性脳症
スポーツは良いものであるはずですが、プロスポーツ選手には度重なる脳震盪や頭部損傷の結果、長期的な脳疾患に悩まされる人もいます。
慢性外傷性脳症(CTE)は、脳震盪などの傷害が繰り返されることによって起こる変性脳疾患で、NFL選手を含む、さまざまな過激なスポーツ選手の不運な名誉の勲章になっています。
CTEにおいては脳内の炎症が一般的なマーカーなので、CBDの抗炎症効果と脳保護効果が緩和治療に可能性を持っていても驚きではありません。すでに多くの有名選手が慢性痛やうつ、不安障害のためにCBDや医療大麻を使用していることを公に話していますが、CTEの症状緩和にCBDを利用することに特に注目してCBD研究に8万ドル寄付し、立ち上がったのはNFL選手のユージーン・ムーアでした。
ザ・プレイヤー・トリビューン誌でのインタビューでムーアは次のように話しました。「NFLは選手を可能な限り早くグランドに戻すために、オピオイド系鎮痛剤に大きく頼っていますが、研究では医療大麻の方がずっと優れている解決策であることが分かっています。医療大麻の方がより安全かつ中毒性もなく、オピオイド依存を抑えることさえできます。一部の研究では、大麻に含まれる100以上のカンナビノイドの一つであるCBDが神経保護剤として機能する可能性が示されています。これはCBDが、脳内の細胞を損傷や変性から守ることができることを意味しているのです。このことについて、私たちはもっと学ぶ必要があります」
世界アンチドーピング機構がCBDに対する禁止を解除した今、ボクシングやアメリカンフットボール、ラグビーといったコンタクトスポーツに関わるますます多くの選手たちが、それぞれのスポーツで起こる消耗性の身体的影響によって破滅させられ、引退することから救ってくれる可能性のあるCBDの神経保護効果を利用できることを願います。
新生児低酸素性虚血性脳症および周生期仮死のためのCBD
ここまで成人の脳を保護するCBDの可能性について見てきましたが、製薬会社が出生時の酸素欠乏によって起こる脳傷害から新生児を保護する手段としてCBDを検査していることをご存知ですか?
カンナビノイド薬の大手GWファーマ社は、新生児低酸素性虚血性脳症(NHIE)および周生期仮死のためのCBDを研究するため、FDAからファストトラック指定ならびにオーファンドラッグの承認を受けました。GW社による声明には次のように述べられています。「GW社は、カンナビノイドが需要の高い小児期神経学的疾患の治療において重要な役割を果たす可能性を持っていると考えています。結果的に私たちは、特に最も弱い患者層であるNHIEをもつ新生児における使用のために、独自の点滴CBD製剤を開発しました」
過去に、出生時に窒息した子豚に対して実施された研究で、科学者はすでにCBDが酸素欠乏によって引き起こされる障害を抑制することができることを示す十分な証拠を見つけています。脳細胞の酸素供給が改善し、脳波振幅における部分的な回復が見られました。これらは低酸素虚血性脳障害の急性期を超えて維持されました。心臓血管または呼吸器官における副作用は認められず、「CBDは低酸素虚血性の新生児において有効かつ安全に使用できる薬である可能性」が示されました。
毎度のことながら、研究は前臨床段階の次段階には進んでおらず、ヒトに対する臨床試験が非常に必要とされています。しかし、脳損傷のためのCBDに関して将来は有望だ、と科学者は希望を持っています。

CBDオイル ドロップス 300mg Cannabidiol(3%) 1ヶ月タイプ
価格:4,550円 (税込)

CBDオイルカプセル (CBD)300mg 30錠タイプ
価格:4,550円 (税込)
