最先端研究から分かるパーキンソン病に対するCBDの効果を詳しく解説

大麻の歴史のなかには、大麻の薬効特性が表舞台に出る決定的な瞬間があります。最近では、大麻抽出物を摂取前と摂取後の様子を撮影したパーキンソン病患者ラリーの動画がそうでした。摂取前、ラリーの身体は硬直し、震えで揺れていました。少量の大麻オイルを摂取して数分後、制御不可能な震えは落ち着き、ラリーの声は安定を取り戻しました。

それは文字通り奇跡のように見えました。薬草である大麻に注目し、それを公開するのを駆り立てる、説得力のある事例証拠でした。

しかし、パーキンソン病治療における大麻のメカニズムについてはまだ多くを学ばなければなりません。科学者は、どの化合物が病気の進行を遅らせ、症状を抑制する鍵を握っているのか見つけようとしています。そして偶然にも、CBD(カンナビジオール)はその候補の一つに挙がっています。

パーキンソン病という病気

中枢神経系の神経変性疾患に分類されるパーキンソン病は世界でおよそ600万人が罹患しており、その大半が60歳以上です。どのように病気が始まるのかは分かっていません。遺伝性素因の可能性がある一方で、農薬への暴露や深刻な頭部損傷も考えうる原因として挙げられています。症状はゆっくり時間とともに表れ始めます。最も一般的な症状は、震え、硬直、動きの遅さ、足の引きずりなど運動機能に関連するものです。しかし、認知的および感情的障害や、睡眠障害が起こることもあります。

黒質と呼ばれる脳部位の脳細胞が死に始め、神経伝達物質ドーパミンの生成が低下するため、可動性や動作が最初に影響を受けます。これにより運動を司る脳部位である脳幹神経節のシグナル伝達が変化するので、パーキンソン病と総称される運動機能に関連した一連の症状を引き起こします。

パーキンソン病は治すことができない病気で、現在の治療薬(レボドパ)はドーパミン減少を対象としていますが、神経損傷が増大するにつれ、薬は最終的に効かなくなり、患者の制御不可能な動き(運動障害)を悪化させることさえあります。

患者が大麻に注目する

病気の進行を遅らせ、致死的な症状を改善しようと必死なパーキンソン病患者とその家族が、別の選択肢を求めるのも不思議ではありません。一部の人にとって大麻は医学的不確定要素に見えるかもしれませんが、治療薬としての大麻利用は19世紀まで遡ることができます。当時出版されたウィリアム・リチャード・ゴーワーズ著『神経系疾患の手引書』に大麻は記載されています。

当時、大麻草に含まれる化学化合物についてはほとんど知られていませんでした。科学者がエンドカンナビノイドシステムを発見し、大麻が人体にどのように作用するか本当に理解し始めたのは、過去20年間のことなのです。エンドカンナビノイドシステムとは、 主に脳、中枢神経系、免疫系に存在する大麻のような化学物質と受容体(CB1、CB2)のネットワークで構成される恒常性調節システムです。

エンドカンナビノイドシステムとパーキンソン病

エンドカンナビノイドシステム(ECS)の重要な機能の一つに、細胞の寿命調節があります。これは特に脳細胞の損失が克服困難な中枢神経系において極めて重要な機能です。神経変性疾患においてエンドカンナビノイド量および受容体表現における変化に示されるように、ECSは神経保護効果を持つ可能性があることに科学者は気がつきました。これらのECSの変化はさまざまな解釈が可能ですが、ここで得られる結論は、ECSの変化は病気の結果として起こる神経損傷を軽減しようとする働きを反映している、ということです。

パーキンソン病で影響を受ける脳部位である脳幹神経節はCB1受容体の密度が高く、パーキンソン病の実験モデルではこの部位におけるCB1活動の増加が観察されました。また脳のグリア細胞内のCB2受容体の出現、ならびに全体的なエンドカンナビノイド生成も増加しました。大麻草に含まれる植物性カンナビノイドがエンドカンナビノイドシステムに直接影響を及ぼすことを科学者はすでに知っています。したがって、神経変性疾患との闘いに関する興奮するような研究分野が、治療手段としてカンナビノイドを利用することだとしても不思議ではありません。

神経保護剤としてのカンナビノイド

現在のパーキンソン病薬はドーパミン減少を改善するためのものですが、現在のカンナビノイド研究の主な焦点は、大麻の神経保護作用、抗酸化作用、および抗炎症特性に関するものです。アメリカ連邦政府ですら、中枢神経系疾患の治療に関する神経保護剤および抗酸化剤としてカンナビノイドの特許を取っています。

大麻に含まれるカンナビノイドのなかで最も多いTHCはCB1受容体にぴったり結合し、神経保護効果を引き起こします。しかし、パーキンソン病に関連する興奮毒性を減らすTHCの能力を示した有益な前臨床研究があったのに反して、実はCB1活性化はパーキンソン病に関連する運動症状を悪化させることがあるのが分かり、THCの摂取は除外されました。

しかし全てが失われたわけではありません。他のカンナビノイドもまた、ECS受容体活性化および非エンドカンナビノイドシステムのメカニズムを通じて、脳細胞を保護する優れた多面的アプローチを持つからです。

そこでCBDが頭角を表します。

CBDがパーキンソン病に示す効果

CBDはエンドカンナビノイド受容体との結合親和性が乏しいので、概して理解するのが難しいカンナビノイドです。その薬理作用のほとんどは、非ECS受容体との相互作用や、体内の重要なエンドカンナビノイドを代謝する酵素を阻害することによって起こります。またCBDはCB1受容体の活動の阻害することが分かっており、パーキンソン病研究において特に関心が高い物質となります。

しかしCBDが最も有望なのは、強力な抗酸化剤だからです。CBDは一般的にパーキンソン病の前駆体であると考えられている、酸化ストレスを引き起こすフリーラジカルを除去しますが、それをいかなるエンドカンナビノイドのシグナル伝達とも関わらずに行います。『エンドカンナビノイドと神経変性疾患:パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、アルツハイマー病その他』と題された論文のなかで著者は次のように解説しています。「CBDは 、CB1受容体を標的にするCBsもしくは局所的炎症に対するCB2を標的とするその他と同様に、変化したグルタミン酸塩による脳損傷に対して活性を持ちます」

もう一つ重要なのはCBDの抗炎症作用です。CBDの抗炎症作用はエンドカンナビノイドシステムとは無関係に起こり、またPPARファミリーの核内受容体と関連している可能性が高いです。

知名度の低いカンナビノイドが有望

炎症の軽減は、パーキンソン病の進行を遅らせる闘いにおける基本です。CB2受容体の活性化が体内の炎症の軽減に役立つことが分かっています。そこで科学者は知名度の低いカンナビノイドTHCVに注目しました。THCVはCB1受容体を阻害しつつCB2受容体を活性化させる優れた能力や、強力な抗酸化作用を持ちます。

マドリード・コンプルテンセ大学でパーキンソン病を持つ動物モデルに対して実行された研究では、THCVの投与が運動抑制を弱め、毒素による脳細胞損傷を軽減し、一部のニューロンを保護することが分かりました。著者は次のように結論付けています。「THCVは、パーキンソン病の進行遅延、またパーキンソン病様症状の軽減において有望な薬理プロフィールを持ちます」

また正式にはカンナビノイドではありませんが、大麻やクローブ、ブラックペッパーといった香りのあるスパイスに含まれるテルペンのβ-カリオフィレンは、CB2受容体を刺激・情報調節することでカンナビノイドのような働きをすることが分かりました。『パーキンソン病のロテノン・モデルにおけるドーパミン作動性神経変性に関連する酸化ストレスと神経炎症に対するカンナビノイド2型(CB2)受容体活性化保護』と題された最近の研究では、β-カリオフィレンが「CB2受容体の活性化によってもたらされる抗炎症・抗酸化作用によって重大な神経保護を引き起こす、潜在的な治療有効性を持つ」ことが分かりました。

これまでに行われている有望な臨床試験

動物モデルにおける前臨床研究で、パーキンソン病におけるカンナビノイドの神経保護的可能性が有望であると示されましたが、これまでのところ臨床試験は医学界を納得させることはできていません。研究は少人数の患者を対象としたもので、その多くが二重盲検プラセボという究極の検査基準ではなく観察に基づくものだったからです。

チェコでパーキンソン病患者に関して実施された調査では、25%が大麻を使用し、そのうち46%が症状の改善を報告しています。小規模な非プラセボ研究では大麻喫煙の30分後に患者の動作が評価され、震え、硬直、動作緩慢(動きの遅延)、痛み、睡眠の改善が見られました。

CBDもパーキンソン病に関連する精神病におけるカンナビノイドの効果を評価することを目的とした研究で調査され、4週間後に改善を見せました。別の研究でもまた、CBDはパーキンソン病患者によく起こる症状の一つ、レム睡眠行動障害に役立つことが分かりました。しかし、2014年に119人の患者が参加した二重盲検臨床試験ではプラセボまたは75mg〜300mgのCBDが投与されましたが、どちらも神経保護効果または運動症状における大きな変化は見られませんでした。とはいえ、CBDを300mg投与された患者は生活の質が改善したことを報告しています。

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パーキンソン病の未来

パーキンソン病はアメリカ国内の多くの州で医療大麻受給資格を持つ疾患とされていますが、主流の医療専門家を納得させるのに必要とされる十分な臨床的証拠はまだ不十分です。

しかし、一人の医師がパーキンソン病におけるCBDの効果を研究できるよう、コロラド大学医学部で臨床試験を実施するために100万ドルの助成金を要求しました。モーリーン・リーヒー医学士はGWファーマシューティカルズ社のエピディオレックスを使用し、その安全性と耐容性を検査するために第1段階で非盲検試験を行います。うまくいけばその後、第2段階で50人の被験者に対して二重盲検ランダム化比較試験(RCT)を行い、CBDが震えの改善だけでなく、不安障害、精神病、認識力、不安、睡眠、日中の眠気、気分、疲労、痛み、衝動性、むずむず脚症候群、REM睡眠行動障害なども改善するか調査します。

新たなアプローチへの探求が続くなか、そのうちTHCVとCBDも臨床試験に取り上げられるでしょう。この2つの組み合わせは、すでに糖尿病やてんかんなど他の病気に関して研究され始めています。

パーキンソン病やその他神経変性疾患におけるカンナビノイド研究はまだ始まったばかりです。しかし初期結果は有望です。さらなる臨床試験が行われれば、科学は最終的に多くの患者がすでに体験してきたことに追いつくでしょう。

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