ヴァレリー・ナウレスは4歳の息子アリクを救うためなら法も犯す覚悟だと言います。それは、ミズーリ州コロンビア郊外に住むナウレスがアリクの深刻なてんかん性発作を治療するために、カンナビジオールまたはCBDと呼ばれるヘンプ抽出液を買うために定期的にコロラド州に車を走らせ、違法に持ち帰る可能性を意味しています。
その手段を取るかどうかは全て来週ミズーリ州下院で起こることに左右されます。
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ミズーリ州で提示されているCBD法案の行方
下院議員ジーン・エヴァンス(マンチェスター市共和党)が支援する法案1007は、ヘンプ抽出液を家族が入手しやすくし、抽出液を処方できる深刻な疾患のリストを拡大し、また許容できるTHC量を増加させることでその有効性を高めることを可能にします。
CBDオイルは、天然の鎮痛剤として、またクローン病、胃潰瘍、アルツハイマー病やパーキンソン病などの中枢神経系疾患の症状の緩和薬など、広範囲の利点を持つことが宣伝されている健康補助食品です。CBDオイルは大麻草から採れますが、精神作用性はないので、オイルで精神活性化されることはありません。
しかし法案1007が下院を通っても、上院で可決されるかどうかナウレスは疑っています。その理由は、州上院議員ボブ・オンダー(レイク・セント・ルイス市共和党)が激しく反対しているからです。今年のはじめ、医師であるオンダーは同様の法案の上院版を阻止しました。
CBD入手の難しさに揺れる患者たち
オンダーが再びCBDへのアクセス拡大を阻止するのに成功したら、「私は、家族を引っ越させる代わりに、違法に購入して家に持ち帰ります」とナウレスは言います。「ひどいことに聞こえるのは分かっています。しかしここが私の家なんですから、そんなことをしなくていいはずなんです。私は家族を出ていかせません。でも彼らが可決させなかったら、必要ならどこかのタイミングで違法に購入するでしょう」
ナウレスの対照的に、サラ・ランゴは16歳の娘エイベリーに十分な投与量のCBDヘのアクセスを確保するために、家族でコロラド州に引っ越したいと話しています。エイベリーは2時間以上続くこともあるような破壊的な発作性疾患を患っています。
カンザスシティから南東に1時間行ったクレイトンに住むランゴは、THC濃縮液をより多く含むCBDオイルの方がエイベリーの発作を抑えるのに効果的だと言います。しかし法案が行き詰まり続ける限り、エイベリーは必要とするヘンプ抽出液を合法に入手することができないのだ、とランゴは言います。
「エイベリーの人生と健康が、エイベリーのことや彼女がどんな体験をしているか知らない誰かの手に左右されるのだと思うと、急に悔しく感じます」とランゴ。
母の発作緩和のためにCBDオイルを入手できたミズーリ州民の体験談
96歳になる母親が発作に苦しみ始めたとき、それは母にとっても私たちにとってもひどく辛いことでした。発作は母を消耗、また混乱させました。また発作抑制のために使った薬は、母を不安定にさせ、全く起きていられないこともしばしばでした。
そのとき私はテレビのニュース番組で、CBDオイルがどれほど子供のてんかん治療によく効くか知ったのです。ニュース番組で、CBDオイルはミズーリ州で合法であると述べていました。老人は子供と似たように薬に反応することが多いので、私は母にCBDオイルを試してみることにしました。
私が母の神経科医に電話すると、医師は試してみたいが、アクセスできないと言いました。私は信じられませんでした。CBDは神経科医によって処方されるなら、なぜ州が合法化したのに、医師はアクセスできないのでしょうか?
私は失望しましたが、決心していました。そこで州上院議員のボブ・ディクソンに電話しました。上院議員の事務所はすぐに電話をかけ直してくれ、ミズーリ州の販売業者ビリーフに関する情報をくれました。私はビリーフに電話しましたが、応答がなかったので、再びディクソン議員の事務所に電話をかけました。彼らはすぐに対応してくれて、企業に自ら連絡し、私を助けてくれる人物の携帯電話番号を入手してくれました。
ディクソン上院議員の投票記録はディクソンがいかなる大麻の合法化にも懐疑的であることを示しているにもかかわらず、有権者のためにそこまでしてくれたのは、私にとって特に大切なことでした。
CBDオイルは大麻草から作られ、人をハイにさせるTHCを非常に少なく含むオイルに変えられます。私は、ディクソン上院議員の助けようとする意思、また代替医療源を試そうとする私の決断に対する信頼に心から感謝します。
ありがたいことに、母が以前飲んでいた薬は発作を完全になくすことはできませんでしたが、CBDオイルを摂りはじめてからは一度発作が起こっていません。私たちは、この成功が続くなら、他の薬を減らすように神経科医と協力しています。今、私はディクソン上院議員を含む国会議員に、CBDオイルの合法的利用の拡大を考慮するように働きかけることを決心しています。CBDオイルは今、難治性てんかんを患う患者のみに認められています。すなわち、少なくとも3つの異なる薬を試した後でも、完全に薬によって抑えることができない発作を持つてんかんです。
神経科医は使用に同意するべきですし、州は使用者カードが発行される前に患者の医療記録の提供を要求すべきです。CBDオイルが治療に使える疾患は他にも多くありますし、私たちの経験からCBDが精神活性作用をもたらすリスクは無いと言えます。
対立する医師と州上院議員の見解
アレルギーおよび喘息の専門医であるオンダーは、てんかんを患う子供の治療におけるCBDオイルの使用認可を支持すると言っています。しかし前述の上院法案はパーキンソン病、多発性硬化症や AIDSを含む疾患にもCBDオイルの使用を容認していました。それはやり過ぎだ、とオンダーは言います。
オンダーの反対の根拠の大半は、食品医薬品局(FDA)がCBD製品を病気に対する治療薬として承認していないという事実から来ています。
「そして私は、州がFDAの認可プロセスを結果的に侵害し、未承認の薬の使用を支持することを受け入れがたく思います」とオンダー。
オンダーによる継続的な法案1007に対する反対派、ミズーリ州で生まれようとしている医療大麻産業にとっても大きな問題となりえます。
ミズーリ州は2つの施設を認可してきました。アース・シティのビリーフ社とチェスターフィールドのノアズ・アーク・ファンデーション社のどちらもウェスト・セント・ルイス郡にあり、CBDオイルのみを製造・販売するかもしれません。しかしどちらの施設も、州法がミズーリ州において神経科医のみにCBDオイルの処方を認めるという事実によって阻まれています。法案1007は、神経科医だけでなく全てタイプの医師がCBDオイルを処方することを認めます。
それが実現すれば、より多くの家族が州医療大麻カードの資格を得るのがずっと簡単になる、とビリーフ社のミッチ・メイヤーズは言います。元アンハイザー・ブッシュ社のマーケティング管理者だったメイヤーズは、2016年1月にミズーリ州で最初の医療大麻栽培センターおよび薬局のBeLeaf(ビリーフ)を立ち上げました。
「もし小児科医が5年間てんかんに苦しんでいる子供を知っていたら、申請フォームに『この人はてんかんである』と書くことができます。そうなれば、医療大麻カードを人々に渡すのをより多くの医師が助けてくれることになるでしょう」とメイヤーズ。
これはビジネスにとってよいことだと、メイヤーズは認識しています。しかしこれは、苦しんでいる患者たちにも役立ちます。法案1007の可決は「少なくとも収支を合わせ、患者ベースを支援し続けることを可能にします」とメイヤーズ。「患者たちは州外に出たり、インターネットでCBDオイルを購入したりして、そしてその中に何が入っているか分からないのです」
もし法案が州議会で無効になったとしても、医療大麻を合法化するために2018年11月の憲法修正投票で十分な署名を集められることを支援者は願っています。
既に進行中である署名集めキャンペーンのスポンサー、ニュー・アプローチ・ミズーリは 前年11月投票が集まらなかった失敗から学びたいと望んでいます。
世論調査ではミズーリ州の約3分の2が医療大麻に賛意を示していましたが、セント・ルイス郡で十分な票を集められなかったことで修正案は通らず、少なくとも2年間修正案を出せないことになりました。
