禁じられた薬CBD:医師による勧めと連邦法の間で

てんかんを持つ妹をコロラドから届いたカンナビジオール(CBD)で助けたいニューヨーク在住の男性の試みが体制によって阻まれています。カンナビジオールは医薬品の希望ともてはやされる精神活性作用のない大麻化合物ですが、CBDを豊富に含み、中毒性のあるTHCを少なく含む大麻またはヘンプから作られた抽出液の未来は、まだ不確かです。

カンナビストによる本レポートは、連邦と州の間の不一致、全国薬物政策、最先端研究の取り組み、ならびに化合物の完全な合法化に向けたさまざまな手段によってちぐはぐになっている規制および法的状況を調査しました。これはシリーズの第1回です。

発作に生涯苦しんできた高齢女性

ナンシー・パシェチュニックの人生には常に発作とともにあります。通常の1ヶ月では発作は数十回です。時には、月に100回近くになる時もあります。抑制できないものを抑制しようという試みは実質的に効果がなく、時には西ニューヨークにある州立施設に住む59歳のパシェチュニックにとって命にかかわることもあります。

5年前のある時、薬の投与量が過度に上げられ、ナンシーを生死にかかわる長時間の発作が襲いました。異なる治療法を計画しなければなりませんでした。

昨年の10月、ナンシーの神経科医は、コロラド州に拠点を置くCWヘンプによって調合・開発された全草ヘンプ抽出オイル、シャーロッツ・ウェブを毎日0.5ミリリットル摂取することを勧めました。このオイルは精神作用しない大麻化合物であるカンナビジオール(CBD)を豊富に含みます。CBDは、その潜在的な薬効のために大きくもてはやされ、一部の患者にとって発作を軽減すると主張する効能のために全国的な注目を集めてきました。

ニューヨーク州バッファローにあるデント神経学機関のケネス・R・マレイはニューヨーク州に当てて書いた手紙をカンナビストに公開しました。

「ナンシーは複数の抗発作薬を試してきましたが、発作抑制において大幅な改善が続くことはなく、耐え難い副作用に悩んできました。ナンシーに発作性疾患の安定化に関する機会を与えられることが絶対に必要です」

しかし連邦政府の目から見れば、CBDは証明されていないだけでなく、違法な大麻派生物であり、医療大麻を認めているニューヨーク州のような州においても医師、患者およびその家族にとって法的・倫理的難題を引き起こします。ナンシーはまだ勧められた薬を受け取っていません。

コロラド州発の別の治療オプション

ナンシーは18歳の時以来、州のネットワークと家族のサポートに頼ってきました。発育障害とてんかんを患うナンシーは付きっきりの介護が必要なので、ニューヨーク発育障害施設の管轄下にあるオーチャード・パークの州立グループホームに住んでいます。

ナンシーの知的レベルは10歳程度です。ナンシーはピザを食べたり、兄で法定後見人のポール・パシェチュニックと散歩したり、また他の人が飼っている犬の話を聞くのが大好きです。ポールは8ヶ月以上、ナンシーが医師に勧められた治療をできるように妹のために戦ってきました。

ナンシーの治療計画にシャーロッツ・ウェブを加えるという話は昨年の秋に、てんかんなどの分野における最先端治療を追求するマレイ医師がポールに、大麻化合物、特にCBDの新たな分野に可能性が見えると話したことから始まりました。

マレイはポールに、UKを拠点におくGWファーマシューティカルズが開発した飛躍的なCBD薬、エピディオレックスがどのように臨床試験を受けたか説明しました。エピディオレックス研究の研究責任者オリン・デヴィンスキー博士は最近、特定のてんかん型に関連する発作の治療に関するエピディオレックスの可能性について後期臨床試験で分かった有益な発見を発表しました。

ナンシーの医師は、エピディオレックスが市場に開放されるのに何年もかかることを知り、別の治療選択としてシャーロッツ・ウェブを提案しました。シャーロッツ・ウェブは、CWヘンプによってコロラド州で栽培・加工されている全草ヘンプCBD抽出液のブランド名です。

コロラド州は2000年に医療大麻を、2012年に成人向けの娯楽用大麻を合法化して以来、発作性疾患やその他病気の症状を治療するCBDの効能について事例証拠の中心へと発展してきました。シャーロッツ・ウェブは、コロラド州に住む少女シャーロット・フィジーの発作をこの世のものとは思えない能力で緩和したように見えたことから、全国的な注目が集まりました。

多数の医療大麻難民がコロラド州に押し寄せ、代替的な治療オプションとしてCBDオイルの成功を宣言しました。フィジーやその他多くの患者に関する新たなレポートは、元CWボタニカルズのCWヘンプが全国的に有名になるのを支えました。

ナンシーの医師からシャーロッツ・ウェブのことを聞いたポールは、CBDについて猛然と調べはじめました。ポールは、ナンシーがグループホームにいる間できることとできないことを知るために、ニューヨーク州職員、国会議員や弁護士に質問したり、インターネットで情報を調べたり、カンナビストのコロラド事務所に売り込み電話をかけたりしました。

規制上および法的不透明性の複雑な絡み合い

マレイはナンシーにシャーロッツ・ウェブを勧める州職員に当てた手紙のなかで、「ヘンプに分類されるため全50州で配送が合法である」健康補助食品であると言及しました。しかしポールはすぐに、誰もが同じ視点でCBDをとらえているわけではないことを知りました。

連邦政府は、CBDおよびその他大麻から派生した抽出物をスケジュールI薬物だとみなしています。スケジュールIは、アメリカの規制薬物法において最も厳しい分類です。ニューヨーク州は2014年に医療大麻を合法化しましたが、そのプログラムは全国で最も規制的です。大麻薬局はわずかで、20店舗以下が州に散財するのみです。また大麻の喫煙は禁じられ、選ばれた少数の医学的条件がプログラムの対象となっています。

マレイからのコメントは得られませんでした。マレイがニューヨーク州職員に当てた手紙は、ポールがカンナビストに提供した複数の文書のやり取りの一つでした。ニューヨーク州が医療大麻合法化に関して不安定なかじ取りをするなか、マレイが働くデント神経学機関は潜在的医療大麻患者ならびにより広範囲な医療コミュニティーの情報源として自らを位置付けてきた、とデント院長でロズウェル・パークがん協会の神経腫瘍学長でもあるラスロー・L・メチュラー博士は話しています。

メチュラーは、1000人の患者を持ち、さらに1000人が順番待ちリストに名を連ねているというデント大麻クリニックを形成しました。メチュラーのより広い目的は、医療大麻に関する有望な臨床研究を実施できるスケジュールI薬物研究許可証をデントが得ることです。

研究がなければ、メチュラーとその同僚たちは、200年前の医師と同じように自分たちの臨床経験や患者に見られる効果に頼らなければならない、とメチュラーは言います。ポールは妹が州立グループホームにいながらCBDオイルを受け取る方法を知ろうとするなかで、規制上および法的不透明性の複雑な絡み合いを理解し、それを解こうとしている官僚制度に突き当たりました。

ナンシーのグループホームを監督してきたニューヨーク州発育障害者のためのコミュニティーサービスの臨床部長とポールが最初に交わしたやり取りは、ポールを楽観的な気持ちにさせました。施設がニューヨーク州から許容可能なものについて解明を求めるなか、職員はそれまでにナンシーがシャーロッツ・ウェブを手に入れるのを助けることを提案しました。挙がっていた解決策のなかには、登録された医療大麻患者であるナンシーをポールが自宅に連れて行き、そこで勧められた薬をポールが投与するという案がありました。

一時的な治療計画が開発される前に、州から次のような解明がありました。

「ニューヨーク州法では、いかなる大麻製品、たとえ精神活性化合物THCが少ないCBDオイルであっても、その投与、監督、追跡する看護行為は、犯罪の引き渡し、ひいては個人の違法行為を構成します」2017年1月31日に州職員がポールに当てた手紙に書きました。

ポールとポールの弁護士はスケジュールI分類にためらいながら、2014年農業法が提供する保護のもとヘンプから派生した抽出液は合法であると主張しましたが、州は断固とした姿勢をとりました。この手紙は、シャーロッツ・ウェブをナンシーの治療薬に加える可能性を阻止しただけでなく、ナンシーをポールの家に連れて行き、ナンシーにオイルを投与するというポールの計画もくじきました。

ニューヨーク州発育障害者のためのコミュニティーサービスの臨床サービス長アール・コーエンからのコメントは得られませんでした。

安堵は全く無い

ポールは妹の役に立つと信じている潜在的な薬の投与をするのにビクビクしたくないと考えています。もし自分がナンシーにオイルを届けているのを看護師が見たら、看護師が警察に電話して自分は逮捕されるのだろうか、とポールは想像しました。それよりもっと悪いのは、ナンシーの州による医療給付が脅かされることだとポールは言います。

「一方では医師がCBDを患者に処方し、州はそれを禁止する要因なのです」とポール。「州が提供する監視から安堵が得られることは絶対にありません」

ニューヨーク州保険局は、以下の声明を提供しました。

「ニューヨーク州医療大麻計画は、ニューヨーク州内の医療大麻の製造、販売、使用を規制しています。州の医療大麻計画( ROs)に登録された機関によって販売されている認可された医療大麻製品には、よくCBDが含まれています。しかし、“CBDオイル”または“ヘンプから作られた植物抽出液”と主張するROs外で購入された製品は州の医療大麻計画の管轄外であり、道の含有物および品質である可能性があります」

保険局職員は、州立特別・障害者施設の政策に関する後続の質問には応じませんでした。それとは別に、ニューヨーク州発育障害者施設の職員も、施設の医療大麻およびCBDオイルに対する政策についての情報やインタビューを求めた、カンナビストの複数のeメールや電話に応じませんでした。

ポールはCBD抽出液の別のブランドを購入するためにニューヨーク州を横切って旅することを考えていますが、そのブランドのカンナビジオール含有率はシャーロッツ・ウェブと同じではないと言います。またポールは、バッファローから20分の場所にある大麻薬局と、200マイル離れたビンガムトンにある大麻薬局の抽出液が、ナンシーの神経科医がシャーロッツ・ウェブについて言及した成分、処方、検査、安全性、効能に合うか分かりません。

「私は勧告について専門家を信じています。それにコロラド州からはいい話もあります」とポールは言います。

連邦政府による医療大麻および関連製品の合法化がないので、研究を進展させ、アクセスを提供するのは州次第である、とデント大麻クリニック長のメチュラーは言います。そして州または施設が障害となる場合、それは挑戦の原因になります、とメチュラーは付け加えました。

「特に医療大麻が合法の州なら、私は弁護士を見つけて戦います」

ポールは「それが車1、2台ほどの費用がかからないのなら」妹のために訴訟を起こすことを考えると言いました。ポールはただ医師が勧めるサプリメントが妹に聞くかどうかみる機会が欲しいと話します。

「ナンシーに効くかって?それは分からないよ。間違いなく、ナンシーに試してもらいたいね」

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出典:thecannabist