アメリカではCBDに関する規定がまだはっきりしていないことに加え、小売業者が現在新ブランドの提供に注力していないことと相まって、新しいCBDブランドにとって大変な時期です。しかし一方で、ヘンプ由来CBD商品のオンライン売上は急増しています。ブライトフィールドグループの調査によれば、CBD消費者10人のうち4人は、COVID-19(コロナウイルス)の影響で、CBDをより頻繁に使おうと計画しており、また15%はより高容量の摂取を計画しているということが明らかになりました。
ブライトフィールドグループの取締役ベサニー・ゴメスは次のように話しています。
「COVID-19への対応が強化され、店舗も閉鎖されているため、最大手のCBD企業の一部では、オンライン販売の売上が急上昇しています。しかし、この急増が単に、トイレットペーパーや米を買い溜めするように人々が買い溜めをしめているのか、あるいは将来にわたる使用の指標であるのかという疑問は残ります」
消費者調査のデータは、ロックダウンの間、人々がより「セルフケア」に取り組むことによってCBDの使用が高まるであろうことを示しています。「多くのブランドは、不均衡に影響を受けることになりそうです」
「CBD業界は既に飽和状態に苦しんでいます。2020年の始め、既に3500以上のブランドが存在し、資本へのアクセスは限られています。多くのブランドが、コロナウイルスによる危機が訪れる前から、ビジネスを続けるのは厳しい状態でした。更にこういったブランドの多くは、トレードショーが中止になったことで数万ドルを失っており、危機の核心が今まさに起ころうとしているのに対して厳しい立場に陥っています」
目次
CBDとセルフケア「多くの人が正気を保つためにセルフケアを行っている」
3月16日~19日に行われた最新の消費者についての調査では、CBD商品の増加が示唆されています。「特にCBDヘビーユーザーの間での消費拡大が期待できるということで、これは来る数週間から数か月、この市場がどうなっていくかについて、ポジティブな指標となりそうです」と彼女は付け加えました。
「不安感は、CBD使用者が対処するためにCBDを使っている最も多い症状で、53%が不安緩和のために使っていると報告しています。うつや不眠症は3位、4位で、これから数か月急増する可能性があるでしょう。本当にCBDを必要としていて、すでに健康やウェルビーイングのためにCBDに頼っている人々の間で、消費は継続または増加していくと考えられます。
興味深いことに、CBDとコロナウイルスを含むSNSの投稿を分析したところ、人々が最も頻繁に話し合っているトピックは、セルフケアについてでした。現在国中の人々が隔離生活を送る中で、多くの人が正気を保つため、または単に暇つぶしのためにセルフケアに時間を割いていて、この時期にCBDセルフケア商品の販売を急増させているようです」
厳しい時代はイノベーションとクリエイティビティーと論争を育む
臨床データは(まだ)十分ではありませんが、少量のCBDの服用は不安感を軽減し、睡眠を改善します。消費者のデータによれば、痛み、不安障害、睡眠のためにCBDを購入していることが分かります。
そして今現在、多くの人がとても不安感を抱き、寝付きや、ぐっすり睡眠をとることに困難を抱えているとクラウドウォーター・ブランドのCEOであり共同創立者のマーク・サイデン氏は語ります。クラウドウォーターは、炭酸ドリンクに25㎎のCBDアイソレートとオーガニックの生はちみつ、濃縮ジュースとナチュラルフレーバーを含有しています(12オンスボトルあたり40カロリー)。
彼はフードナビゲーターUSAに以下のように語りました。
「今週、かなり大規模なオーダーを代理店より受けています。CBDの特性について考えると、(不安感がある場合)人々はアルコールやTHCを使いがちですが、ほとんどの人は日中働き続けなければいけないわけですし、CBDはとても現在に適したものと考えています」
「自宅にこもって、働いているバイヤーたちがいます。クリエイティブな動画プレゼンテーションを作って、そういったバイヤーたちに届けましょう」
パンデミック中に新しいブランドを周知させることは、小売店にとって今、最優先事項ではないことは明らかです。投資家たちは新しいブランドの「うなぎ上り」の成長はしないと付言しながらも、しかし危機は「イノベーションとクリエイティビティーと論争を育む」とサイデン氏は語りました。
「家にいて、仕事をしているバイヤーたちがいるのです、もしあなたがクリエイティブなビデオプレゼンテーションを作って彼らの眼に晒すことができれば、しっかりと注意を引くことができます」サイデン氏はクラウドウォーターをニューヨーク、ロサンゼルス、マイアミの実店舗と、オンラインで直接販売を行っています。
小売業者はCBDを売りたいとは思っているが、リスクを懸念している
最近、多くのCBD含有飲料が市場に参入していますが、“CBD”や、“ヘンプ抽出物”と商品に銘打ち、そして高値をつけるだけでは、成功は収められないとサイデン氏は語ります。サイデン氏によれば、クラウドウォーターの消費者は午後や、朝のミーティング前のコーヒーの代わりにクラウドウォーターを飲んだり、カクテルやノンアルコールカクテルに混ぜたりしているということです。割合としては、女性対男性の比が65:35で、X世代、ミレニアル世代に焦点を合わせています。
飲料製品に使われている水溶性CBDアイソレートは、クラウドウォーターの最高業務執行責任者であり、飲料産業のベテランでもある生化学博士のキャロル・ドラード博士によって開発されたプロセスを使って乳化されていると、サイデン氏は解説しました。「THCを含まない安定した商品を提供したかったため、アイソレートを選びました。パッケージにはQRコードがついており、消費者はその商品に何が含まれているか明確に知ることができるので、信頼と透明性を育みます」
「調合段階では、炭酸が風味や味にどう影響するのかということや、CBDが12ヵ月の品質保持期間中ずっと確実に維持されるように、ということに慎重に配慮しました。フタを開けたら油分が表面に浮いていたなんてことにならないようにね」
規制の側面では、複数の小売業者がクラウドウォーターを取り入れたものの、CBD含有食品や飲料を実店舗に導入する前にFDAがCBDについて明確な基準を示すのを待っています。サイデン氏は、東海岸の契約生産者と共に働いていますが、ブランドの成長に伴って、西海岸での機会も模索しています。
「飛ぶように売れているため十分な在庫を確保できないという小売業者もあれば、FDAの動きを待っているという小売業者もいます。誰もが販売を望んでいますが、それはいまリスクカーブのどこにいるかに依存するのです。(現在、FDAはCBDが当初薬物として調査されたため、食べ物、飲み物、サプリメントにおける食品成分としては合法ではないとしており、規制の構築に取り組んでいる)」
「(不況下において)1瓶に6~8ドルも人々が使うとは私は思いませんが、スターバックスの水出しコーヒーよりも50セント多く払うだけで、より効果のあるものが提供できるんです」
Zola飲料を創立したクリス・キュヴリエは、水出しオーガニックコーヒー由来のカフェイン100㎎と、ヘンプ由来ブロードスペクトラムCBD10㎎(THCは含まない)を含有する「ソウルグラインド」という新しいCBD含有飲料ブランドを立ち上げました。クリス・キュヴリエは昨年、大麻企業であるCalivaがZolaを買収した後、同社の新しい飲料部門の舵をとることになりました。
サイデンと同様、3月始めに開催されるはずだったエキスポ・ウエストで大きな注目を集めようとしていたキュヴリエは、新しいブランドを立ち上げるには非常に困難な時期であったと認めています。コロナウイルス感染拡大する前までに、カリフォルニア州で約100店舗近くになんとか導入することができました。
しかし、同社はすぐに消費者に直接販売するサイトを立ち上げ、消費者はオンラインでソウルグラインドを購入できるようになりました。ほとんどの小売バイヤーとのミーティングが延期になる一方で、未来を向け始めている人々もいます。不況に伴って予算が厳しくなり、多くの消費者が高級な製品を控える一方で、消費者は価値あるものを求めており、CBDは機能的効果を提供するとキュヴリエは言います。
「人々が、1瓶に6、7、8ドルもかけるとは思えませんが、スターバックスの水出しコーヒーに50セントプラスするだけで(ソウルグラインドは1日あたり$4.99、商取引では$3.99)10mgのブロードスペクトラムCBDを提供できるのです」
カリフォルニア州のAB228法案に注目が集まっている
規制については、誰もが立法議会法案228(カリフォルニア州で適合するCBD含有食品、飲料、サプリメントの販売を認可する)の迅速な可決と、FDAが明確な規定を連邦レベルで提示することを願っています。
「みんながこの商品を仕入れたいと願っていますが、大手の小売店はみな、規制の明確化を待っています。現時点では、3種のフレーバー(ブラック、バニラ、メキシカンチョコレート)と、準備している商品は6種類あります。3つは「ヘンプエキス」という表記(CBDと言及したくない小売店用)で、もう3つは「ヘンプCBD」という表記です。
CBDを飲食物に添加することが州法で認められれば、CBD入り食品の売上や開発が正式に激増するでしょう。万が一認められなかった場合も「ヘンプエキス」という表記で販売を考えている業者はいるということです。