合成カンナビノイドと危険ドラッグ

合成カンナビノイドというものがある。
1960年代に大麻からTHCを単離することが成功すると、THCの化学式をベースに合成化合した人工カンナビノイドが次々と開発された。HU-210やナビオン(Nabilone)などがそれらかの合成カンナビノイドである。

HU-210はヘブライ大学で開発された合成カンナビノイドで、天然THCの100倍の強さがあるといわれている。ナビロンは制吐や鎮痛(神経因性疼痛)に効果があり一般に施用も行われたが、不自然な精神活性作用を引き起こすこともあり、一般にはあまり受け入れられなかった。

また、ダイエット効果を狙い、食欲を減退させるリモナバンも開発された。この薬品は合成カンナビノイドとは少し違って、体内から分泌される脳内マリファナ・内因性カンナビノイド(エンドカンナビノイド)が受容体と結合して、食欲が増進する働きを阻害するものである。

しかし、副作用によるうつ病の発症や自殺未遂の報告が多く、2007年に欧州医薬品庁(EMA)は処方を中止するよう勧告した。そして、アメリカ食品医薬品局(FDA)は治療薬としての許可申請を却下した。

カンナビノイドは食欲増進以外に幸福を感じるなどの精神活性化にも作用している。この作用は、人間が生きてゆくために大切な機能なのである。

もうひとつの主成分であるCBDをベースにした合成CBDも研究が進められているが、マウスによる実験によると、合成CBDの場合は天然抽出のCBDと異なり、投与量が一定を超えた時に、治療効果が劇的に増加し、そのあと急速に減少する。グラフ曲線で見ると釣鐘のように見えるので、これを『ベル型用量反応』と呼ぶ。

合成CBD単体では、個人の状態によって、いつ、どのくらいの量を投与したらその反応が起こるのかがわからないため、医師は常に患者を観察していなければならず、有効利用への重大な障害になる。
このように、合成カンナビノイドは天然カンナビノイドとは異なる効果を引き起こすである。

合成カンナビノイドと天然カンナビノイドは、消毒用アルコールとブランデーの違いと同じくらい、まったく違うものだといえる。

さらに2004年から欧米で合成THCをベースにした合成マリファナ『スパイス』が発売された。
当初は、大麻ではないために合法とされていたのだが、『スパイス』はアメリカでは2012年に禁止になった。スパイスの登場以来、合成THCの化学式を少しだけ変えて、効き目を強力にした様々な合成薬物が誕生し、日本でも流通されるようになった。これが『危険ドラッグ』である。

当初は『脱法ハーブ』と呼ばれたこれら化合物は大麻とは異なる物質である。しかし、警察やマスコミなどは、合成カンナビノイドをベースにした『危険ドラック』と、安全な天然カンナビノイドを含む大麻草を、同類のように扱うケースが多い。それは、大麻についての知識が不足していることがきている。

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出典:医療大麻入門